【サプライチェーンセキュリティ】ISO 28000特別座談会:港湾の国際競争力を左右するISO 28000

ISO 9001、ISO 14001をベースにしたISO 28000認証取得で、セキュリティ、品質、環境までの統括的なマネジメントを実現。


サプライチェーンのためのセキュリティマネジメントシステムISO 28000。LRQAでは、世界有数のコンテナ港ターミナルオペレーターであるアラブ首長国連邦ドバイのDPワールド社に、世界初のISO/PAS 28000の登録証を発行しました。今回は、こうしたISO 28000の動向、ISO 9001、ISO 14001との関連性について、東京海洋大学渡邊教授をお招きして特別座談会を開催しました。

ISO28000特別座談会

東京海洋大学海洋工学部 流通情報工学科 教授 渡邊 豊 氏
LRQA ジャパン 主任審査員 飯尾 隆弘
LRQA ジャパン 主任審査員 新倉 博文


2007年中に、ISO 28000が正式発行されましたが、まず、規格制定の背景について教えてください。


渡邊:現在、テロ対策のために物流におけるセキュリティ強化が求められています。しかし、複数の関係者が絡むサプライチェーンでは、セキュリティチェックが確実に行われているルート「セキュリティパス」を確保することは困難です。そこで、サプライチェーン全体で連携してセキュリティを高めるためのマネジメント規格としてISO 28000が登場しました。


ISO 28000の認証を取得するメリットとは何でしょうか。


渡邊:これまでは、処理が早くてコストが安い巨大中継港が競争力を持っていましたが、これからは、ISO 28000の認証を取得するようなセキュリティがしっかりとした港に荷物が集中するようになるでしょう。事実、LRQAで世界初のISO/PAS 28000の認証を取得したドバイのDPワールドが、認証取得後にカナダのバンクーバー港へ進出すると、バンクーバー港の貨物量が増加したのです。今後、国際物流の勢力図が塗り替えられる可能性も大いにあるでしょう。


現在、主だった企業では、ほとんどがISO 9001、ISO 14001の認証を取得していますが、ISO 28000と何か関連性はあるのでしょうか。


飯尾:ISO 14001というのは、環境の負荷を下げながら、利益率を向上させていくためのリスクベースのマネジメントシステムです。ISO 28000はこれをベースにしているのではないでしょうか。

渡邊:その通りですね。

飯尾:ISO 14001では、自分で管理できる部分とその影響を及ぼす部分を両方管理する、というビジョンがあります。つまり、入口と出口を明確にしてそのリスクをキチンと管理していくということです。ISO 28000と同じ考え方でしょう。

渡邊:ISO 28000でも、輸送業者や倉庫など、影響を及ぼすサプライチェーン企業のセキュリティについても監査する必要があります。

新倉:ISO 9001は品質、サービスを高めて顧客の信頼を獲得するための規格ですが、業務のはじまりから終わりまでの工程を管理するプロセスアプローチの考え方があります。これは、ISO 28000と同じ考え方といえるでしょう。

渡邊:ある世界的なコーヒーショップチェーンでは、コーヒー豆の調達段階から、各国へのデリバリー、お店の店員さんまで、セキュリティマネジメントに取り組んできました。ISO 28000と同じ取り組みを自ら実践することで、コーヒーという商品の安心感、ブランド力を高めて、集客効果を向上させたのです。

新倉:これは、まさにISO 9001と同じ効果をもたらしていますね。セキュリティというのは、クオリティにつながり、クオリティはセキュリティにつながるのでしょう。

飯尾:ところで、ISO 9001、ISO 14001の認証取得企業は、ある程度仕組みができていますので、効率的にISO 28000を取得できますよね。

渡邊:そうですね。ISO 9001、ISO 14001と、ISO 28000がオーバーラップしている部分は共有化することができるでしょう。

新倉:これらの認証を取得していれば、品質、環境、セキュリティを統括的にマネジメントしていくことができます。日本の港湾を活性化するためにも、積極的にISO 28000を取得していっていただきたいですね。

(掲載日:2007年10月1日)