【環境/検証/CSR】環境への対応力が“経営力”を左右する - 環境経営を戦略的に行うことが勝ち残りのカギ

LRQA ジャパン EMS&GHGマネージャー 主任審査員/GHG主任検証員 飯尾 隆弘

LRQA ジャパン
EMS&GHGマネジャー
主任審査員/GHG主任検証員
飯尾 隆弘

京都議定書、温室効果ガス、省エネ、廃棄物抑制‥‥、環境時代が本格化した今、環境へいかに対応していくかが、経営力を大きく左右するようになってきています。しかし、環境製品の開発などで大きく成長する企業がある一方で、環境対応が進んでいない企業が多いのも事実。こうした中で、勝ち残る企業になるためには、“ISO 14001を効果的に活用して経営力を高め、さらにそのパフォーマンスを実証して社会的な認知度を高める”という、戦略的な環境経営を行っていくことが必要となっているのです。

環境対策なくして 企業経営が成り立たない時代

ニュースやビジネス紙などでは、環境ビジネスの話題が連日のように取り上げられているように、もはや、環境対策なくして、企業経営が成り立たない時代です。環境マネジメントシステムISO 14001の認証取得件数も、日本国内だけで25,000件を超えるほどになっています。こうした中で、環境にやさしい製品をヒットさせたり、環境対応を大きくPRすることで、業績を伸ばす企業がある一方、まだまだ環境経営への取り組みが進んでいない企業も多いのではないでしょうか。

こうした企業では、“ISO 14001はコストや手間ばかりかかってしまい、経営的な成果が得られない‥‥”“紙・ゴミ・電気の削減ばかりに注力している‥‥”“温室効果ガスは自分の会社には関係ない‥‥”という状況かもしれません。では、どうしたら環境経営によって業績を伸ばすことができるのでしょうか。それは、“ISO 14001によって環境経営を発展させ、温室効果ガス削減などの環境貢献、社会貢献の成果を検証、公表して、社会的な信頼を得る企業に変化していく”という経営戦略が必要となっているのです。

環境経営 3つのキーワード

ISO 14001で、環境リスクは最小限に、収益は最大限に

それでは、環境経営を健全な発展へと導くための考え方を、順を追って解説していきます。まずはISO 14001による、環境経営の基盤づくりです。

環境マネジメントシステムの本来の目的とは、“紙・ゴミ・電気”を削減することではなく、“環境リスクを最小限にしながら、収益を最大限にしていく”ことです。例えば、環境への負荷を減らすためには、単に省エネなどを行うのではなく、製品不良の削減を目指せばよいでしょう。効率的な生産体制が整備され、不良品、資源の無駄が減り、消費電力も削減できます。さらに、不良出荷もなくなり、顧客からのクレームも減らせるでしょう。また、環境にやさしい商品、サービスを創出することを目指せば、環境貢献を高めながら、売上げも伸ばすことができるのです。

また、環境といえば自然環境のことだけを考えがちですが、経営環境、生産環境、労働環境‥‥、様々な視点から考えることができます。自然環境だけの対策は、それほど多くはありませんから、次なるテーマとして、こうした経営、生産などの環境の改善を目指していけば、ISO14001がより経営に直結したものになります。最近は、地震などの災害時にもビジネスを止めないためのBCP(事業継続計画)が注目されていますが、環境側面のひとつとして、こうしたテーマを取り込んでいけば、さらに有意義な仕組みとなるでしょう。このようなISO 14001の本来の目的に気付いている企業では、すでに ISO 14001の導入による大きな成果を手にしているのです。

ISO 14001が本来目指すべきもの

急務となっている温室効果ガス削減への取り組み

また、昨今大きな注目を集めており、早急に取り組まなければならないのが、温室効果ガスの排出量の削減です。2008年度から京都議定書の約束期間がスタートしました。日本の削減目標は-6%。一般的に、2012年までに年間で-6%を達成すればよいと思われがちですが、実は、-6%というのは、 2012年までの5年間の平均削減量。すでに、今年からでも-6%を達成していかなければ、目標達成がますます厳しくなっていくのです。今後、京都議定書の目標を守るために、温室効果ガスの排出規制や環境税の導入、本格的な排出権取引市場の創設など、何らかの対策が政府から打ち出されるものと思います。

各企業でも、温室効果ガス削減への取り組みが進められていますが、ISO 14001を活用して、生産効率を上げ消費電力などを減らすなど本業とリンクしながら、温室効果ガス削減の仕組みづくりを行えば、よりスムーズかつ効果的な取り組みが行えるでしょう。そして、温室効果ガスを削減したら、その成果、パフォーマンスを実証していかなければなりません。現在、温室効果ガスを多量に排出している特定排出者は、その排出量を算定して国に報告することが義務付けられています。今後、何らかの規制がかけられた場合には、排出量算定結果の信頼性がより大きく問われることになるでしょう。

しかし、製造ラインの排気ガスからエアコンなどの電力消費量までを算定しなければならない温室効果ガスは、実際に目に見えず算定することは難しいものです。そのため、環境省から算定ガイドラインも出されていますが、国際規格として排出量の算定・検証の仕組みを規格化したISO 14064を活用することが最適といえそうです。このISO 14064の仕組みで算定を行えば、国内だけではなくCDM/JI、EUETSといった国際的な算定・検証基準も網羅することができ、効率的に算定・検証が行えます。さらに、排出量の信頼性を確保するためには、第三者機関からの検証を受けることも必要となるでしょう。

ISO 14001を経営と直結させる環境側面の考え方

環境経営のパフォーマンスを実証して、 持続的な発展へ

さらに、昨今、消費者を中心としたステークホルダー(利害関係者)の目が厳しさを増す中で、環境経営、温室効果ガス削減の成果、さらには、労働環境、消費者対応、社会貢献など、企業の社会的責任について情報開示していくことが求められています。こうした中で、大手企業を中心として、環境パフォーマンス、社会的パフォーマンスをレポートする環境報告書、CSR報告書が続々と発行されています。欧米などでは、このCSR報告書が投資基準になるほど、重要なものとなっているのです。とはいえ、こうしたCSR報告書の内容に誤りがあっては、ステークホルダーからの信頼を得ることはできませんし、逆に信頼の失墜にもつながりかねません。そのため、CSR報告書の信頼性を高めるために第三者機関からの検証を受ける企業が増えています。包括的な企業経営の実態を示しているCSR報告書を検証してもらえば、情報の信頼性が高まるだけではなく、企業経営のリスク、プロセスを適切に分析、評価でき、透明性が高く、健全な企業経営を実現できます。そして、ステークホルダーからの信頼を勝ち得ることができ、持続的な発展にもつながるでしょう。

2006年に発行された、ISO 14064

環境経営の基盤づくりから パフォーマンスの検証までを 統合的にサポート

このように、ISO 14001により環境経営の基盤をつくり、その成果として環境リスクを減らし、経営力を向上させたら、そのパフォーマンスを検証して情報開示をしていく。こうした戦略的な環境経営を行っていくことで、社会的な認知度を高め、経営基盤もより磐石なものになり、健全に発展していくことができるのです。 こうした環境経営の成功を統合的にサポートしているのが、LRQAの環境経営サポートです。

まずは、ISO 14001の審査登録サービスにより、環境対策と本業を一体化させ、経営力向上をサポート。さらに、排出権取引が活発に行われている英国や、国内の自主排出権取引市場で培ってきた豊富なノウハウ、実績により、温室効果ガス排出量を的確に検証して、その信頼性を高めることができます。そして、CSR報告書についても、「裁判に呼ばれても勝てるような正確かつ緻密な検証」を行うことで、環境経営のパフォーマンス、企業経営の健全性の検証、開示情報の信頼性向上までを総合的にサポートしています。勝ち残るための環境経営の実践に、ぜひ、LRQAの環境経営サポートをご活用ください。

LRQA 環境経営サポート

CSR報告書で求められる企業の社会的責任


(掲載日:2008年05月16日)

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