【苦情対応】CSM(CSマネジメント)の常識(2):機密保持 隠す体質になっていないか

クレームは顧客からの大切な贈り物

「うるさい客だ」「無理難題ばかりもちかける嫌な顧客だ」などは一般的な意識である。
しかし本来、クレームはファンからのエールであり、信者からのプレゼントである。例えば貴方が近所のレストランに行き、何か不愉快なことに遭った場合、「こんな店には二度と来ない」と思えば、余計なことを言わずに黙って去る。しかし「この問題を解決してくれれば今後も利用しよう」と考えれば嫌なこともお店に伝える筈だ。
前回触れたが、企業に届く顧客不満足は日本ではわずか1~3%。不満を感じた97~99%の顧客は黙って去り、ほとんど二度とは再来店購入しない。だから不満を伝えてくれる顧客は誠にありがたい感謝すべき対象なのである。
さて、「クレームゼロを目指す」運動をしている企業がある。ところが「クレームがゼロになることはない」のが現実だ。完全無欠、パーフェクトな商品・サービス・企業・人間は存在しない。だからクレームゼロを強く推し進めると「クレームを隠す」体質になりかねない。これでは却って危険な取り組みとなる。

クレームと機密保持

「折角3ヶ月間もクレームゼロが続いたのだから、自分の所で発生したクレームを表面化するとチームや上司に迷惑をかける」などという意識になりかねない。現にアメリカのMホテルチェーンで同様のことが発生したので活動の在り方を変えたとのことである。
日本でも「3年もクレームゼロだ」と威張っている社長に出会ったが、現実にはそのようなことはあり得ない。実に風通しの悪い企業になっているはずだ。このような現象はむしろ組織を崩壊させる危険性をはらんでいる。
むしろどのような些細なクレームもコンプレインも組織内でオープンにして全社を挙げて

  1. その問題解決を図り、
  2. 今後同じクレームが発生しないようにして、
  3. クレームから顧客のためになる革新的な新商品・新サービス開発につなげる

など三つの取組活動を行うのが本来の趣旨である。
ところでクレーム顧客が再購入した理由を調べたところ、「誠意を感じたから」「スピーディに対応してくれたから」が二大ポイントであった。 これで分かるとおり、クレーム顧客に対してこの二つのポイントが提供されれば継続購入チャンスが増す顧客となり、その後さらなる個人情報を企業に提供してくれる。情報の機密保持に信頼性が寄せられるからこそ企業と顧客の良質なコミュニケーションへと発展するのである。



CSM(CSマネジメント)の常識 コラム著者

株式会社武田マネジメントシステムス 代表取締役 武田 哲男
株式会社武田マネジメントシステムス
代表取締役 武田 哲男


プロフィール

銀座・和光勤務以来、一貫してサービス品質・CS経営に取組み現在に至っている。「顧客不満足度調査」「CS・サービス向上研究会(28年目)」など理論と実践面の取組は多くの企業に支持されている。著書多数。 


(掲載日:2008年7月17日)

    

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