【苦情対応】CSM(CSマネジメント)の常識(5):顧客重視 満足より不満足を知る方が大切

商品・サービスの品質が低下している

1995年に「顧客不満足度のつかみ方」(拙著・ PHP研究所刊)で、商品・サービスの品質が低下している様子を記した。その後、「顧客満足の向上・企業の苦情対応のための指針」としてISO 10002 が2004年7月に制定された。しかしその後もあきれるほど頻繁に商品・サービスに関する問題が多発していて一向に収まる様子はない。理由の一つは口先だけのCSM(CS経営)・ISOなどの活動であり、クレーム・トラブル・事件・事故に共通する要素を解決しないからである。

(1)コストダウン

コストを下げて品質低下を招いている。ちなみに機械に例を取ってみよう、 

  1. 部品点数を減らす
  2. 鉄板を薄くする
  3. 別の素材(鋳物・樹脂など)を導入しバランス低下を招く
  4. 見えない箇所で手を抜く
  5. 部品・部材・製品などの製造を海外の工場に依存する。
  6. 過酷な値引きを要求するなど

(2)スピードアップ

  1. スピードアップを進めて雑にしている
  2. 手抜きが横行する
  3. 無理な納期設定
  4. 検査が甘くなるなど。

(3)短絡化

  1. 短絡化を図り、付加価値を失う
  2. 情報・IT化に力を注ぐ。フラット型組織・システムの短絡を図り、今まで存在していた付加価値を失う
  3. 新たな付加価値創造を行わず、やり方は今までどおりとする
  4. 直らないバグが増える。因果関係をはっきりさせず顧客にとって不利な状況を生み出す。

いずれも無駄なコスト(ロスコスト)を生み出す背景だが、詳細な説明は何れ掲げよう。

顧客満足度調査の矛盾

「満足度調査の点数が年を追うたびに上昇しているのに、なぜか業績は低迷、ないしは下降線」「日頃から感じているとおりだが、次の一手が見えない」「点数が高い支店・営業所に限って実態はあまり良くない」「顧客満足度ナンバーワンは広告・宣伝に活用できるが、ナンバー2、3はそれができない。またナンバー3・ナンバー2がナンバーワンになる方法は見えない」など矛盾した問題に直面する企業は多い。これら調査に共通する要素が企業・担当者満足であり、本当の顧客満足を追求する意識に乏しいからである。
というのも調査が人間ドック方式であり、問題把握型だからである。本来なら精密検査方式・問題解決型で取組み、顧客の『要望』『困っていること』『不満』の本音を捉え、名実共に顧客志向の強い企業になるべきである。顧客不満は商品・サービス開発の宝の山である。


CSM(CSマネジメント)の常識 コラム著者

株式会社武田マネジメントシステムス 代表取締役 武田 哲男
株式会社武田マネジメントシステムス
代表取締役 武田 哲男


プロフィール

銀座・和光勤務以来、一貫してサービス品質・CS経営に取組み現在に至っている。「顧客不満足度調査」「CS・サービス向上研究会(28年目)」など理論と実践面の取組は多くの企業に支持されている。著書多数。 


(掲載日:2008年8月7日)

    

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