【苦情対応】CSM(CSマネジメント)の常識(11):経営資源 本当に組織のDNAになっていますか

利益追求だけでは企業は続く?

成果主義の弊害が中長期の視点をぼかしている。その基盤となるのがステークホールダー(企業の利害関係者)に対する考え方で、「誰のことを指すのか」と尋ねるとアメリカの人達は紛れもなく「それは株主」と答える。
ところが株主満足を追求すると3ヶ月、6ヶ月、長くても1年で業績を評価する方向に進む。
しかしB to CにしろB to Bにせよ、先ずは顧客、そして社員、取引先、地域社会、株主という発想は日本。株価のみで一喜一憂するわけにはいかない。
市場規模が縮小し、顧客数が減少する状況下では、顧客との良質で永いご縁が重要なのである。
そのために、特に大切にしなければならないのが顧客の不満・クレームとその対応である。
さて日本の老舗を調べると、一番古い歴史を持つ企業が今から1430年前、次いで1290年、1008年などが浮上する。ついでに、200年以上の歴史を保つ企業は日本で約3000社、ドイツ約800社、オランダ約200社、アメリカ14社となる。
アメリカは歴史が浅いが、しかしM&Aなどで企業規模を拡大する方式は災いしていないか。誰の満足を追求するのか、そのために何をするのかが大切なはずだ。  

戦略策定だけで組織は動かない

現場を知らなくても頭のよい人達がデスクワークにより創造する戦略は論理的で実に素晴らしい出来映えであり、その道のプロをうならせる。システム構築やマニュアル作成なども実に鋭く頭脳明晰ぶりを発揮する。
しかしほとんどの場合、実際の展開となると現場知らずが災いし、必ずしも成功しない。また実活動で成功に導くのは現場担当者たちであり、頭だけで勝負しているわけではない。
相手の顧客は人間であり、“個客”であり千差万別なのだ。だからいくら立派な戦略を構築しても作業レベルの現場を見ると実に乖離がひどい場面に遭遇する。
俗に言う絵に描いた餅、立派な額縁に入ったお飾りの企業理念と同様である。一部の人達だけが理解しているだけではコトは決して上手くいかない道理であり、組織のDNAが壊れている実態である。
Tホテルの場合、「さすが」を物差しの目盛りにして、一人ひとりが自分の仕事に流石を生み出している。A航空会社では「あんしん、あったか、あかるく元気」を組織共通の合言葉として、やはり組織のDNAにしている。
組織を経営資源として『人』を認識している、学ぶべき好例である。



CSM(CSマネジメント)の常識 コラム著者

株式会社武田マネジメントシステムス 代表取締役 武田 哲男
株式会社武田マネジメントシステムス
代表取締役 武田 哲男


プロフィール

銀座・和光勤務以来、一貫してサービス品質・CS経営に取組み現在に至っている。「顧客不満足度調査」「CS・サービス向上研究会(28年目)」など理論と実践面の取組は多くの企業に支持されている。著書多数。 


(掲載日:2008年9月18日)

    

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