【ISO全般】統合マネジメントシステム解説 - 経営の効率化やパフォーマンス上を実現

LRQA ジャパン テクニカルグループマネジャー 伊藤 純嗣
LRQA ジャパン
テクニカルグループマネジャー
伊藤 純嗣

ISO 9001とISO 14001、さらにはOHSAS 18001なども含め複数の認証を取得している企業が数多くなっており、また、食品安全、航空宇宙産業をはじめとするセクター規格も続々と登場しています。こうした中で、経営の効率化を図り、そのパフォーマンスを向上させるために、統合マネジメントシステムへ移行するケースが増加しています。

部分最適化から全体最適化へ

昨今、環境対応が大きな経営課題となっており、製品としての品質を向上させるのはもちろんのこと、素材やリサイクル性など、環境性も同時に考えて設計、製造しなければならなくなっています。しかし、ISOを個別に運用している場合、ISO 9001では製品品質、ISO 14001では環境法令の遵守というように、品質、環境をそれぞれの側面で個別に考え、モノづくりの仕組みが部分最適化されたものとなってしまう場合もありました。

また、ISO 9001とISO 14001、OHSAS 18001、さらにはセクター規格なども含め複数の認証を取得している企業が増えてきていますが、こうしたマネジメントシステムは、規格は違ってもPDCAサイクルという管理の仕組みなどの共通部分があります。そのため、複数のマネジメントシステムを個別に運用していると、監査や管理に二重の手間がかかるなど業務負担やコストが増加するケースもありました。

そこで、こうした問題を解決するために、複数のマネジメントシステムを統合して運用する、統合マネジメントシステムが注目されているのです。

統合的な管理により、経営システムとして効果的に機能

ISO 9001とISO 14001、OHSAS 18001などを統合して経営システムとして運用すれば、モノづくりやサービス提供の中で取り組まなければならない品質、環境、労働安全衛生についての問題を相互補完しながら包括的に考えることができるようになります。よって、全体最適化されたモノづくりやサービス提供の仕組みづくりへ向けて、真にやるべき課題を引き出しやすくなるのです。

さらに、これまで品質や環境、労働安全衛生のそれぞれに設定していた目標を統合していく際に、コスト、人的資源の中の人材育成、業務と要求事項双方に整合の取れた目標設定にするなど、経営諸要素への関連付けを強く意識して従来のマネジメントシステム審査の枠組みから離されがちであったこれらの要素をも含め、包括的な経営的要素として管理していくとよいでしょう。そして、情報の一元化(PDCAサイクルの一元化)を行い、かつ経営者の判断もしやすくすることで、経営者の意向を全社的に効率よく浸透させることができるようになります。つまり、マネジメントシステムを経営システムとしてより効果的に機能させることができるのです。

各拠点のマネジメントシステムを、全社で統合する動きも

現在、統合マネジメントシステムへの取り組みは、さまざまな業種と規模の企業で進められています。大規模企業の場合を例にとると、工場、事業所など、拠点ごとにマネジメントシステム認証を取得、運用されることが多くなっていました。こうしたケースでは、まずは、拠点ごとに取得、運用されているISO 9001のシステムを全社でひとつに統合し、さらに、ISO 14001、OHSAS 18001を順次統合していくことで、全社が一丸となって動く組織ができあがるものと考えられます。

統合マネジメントシステムへの移行のステップとして、まずは、経営者自身が強い意志を示して、品質、環境、労働安全衛生などの目標を統合した経営目標を打ち出すことが大切です。そして、統合させた内部監査で出てきたアウトプットを分析し、レビューするとともに、教育訓練、文書管理、記録などを含めた統合運用、管理についてのPDCAを回してゆくことで、スムーズかつ効果的な統合マネジメントシステムの運用が可能となるでしょう。

LRQAでは、効果的な統合マネジメントシステムを実現していただくために、複数の認証の審査資格を持つ数多くの審査員が、より現場の考え方に即した審査を行っています。さらに、内部監査、マネジメントレビュー、教育研修までの考え方と進め方を明確化しており、スムーズな移行をサポートしています。

厳しい環境が続く今だからこそ、経営パフォーマンスの向上や効率化のために、統合マネジメントシステムへの移行をお考えの企業が多いことかと思います。LRQAでは、各組織のマネジメントシステムへの固有のニーズに応えて、柔軟に統合マネジメントシステム構築への支援をさせていただきます。

マネジメントシステムの個別運用と、統合運用


(掲載日:2006年4月1日)
   

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