【食品安全】GOMAME先生の食品コラム(2):企業や行政の言う「安全・安心」とは

昨年、新聞でふと目にしたレストランチェーンの全面広告が未だに印象に残っています。「どうぞ安心して、お召し上がり下さい」というキャッチフレーズのもと、企業の取り組みが紹介され、食品衛生に関して「食品からお客様の命を守るあらゆる行為」と定義した 「品質保証部」を設立した旨の記述がありました。いよいよ、食品から命を守らなければいけない時代が来たのかと、驚くとともに非常に残念な思いをしました。

行政の安心社会の構築、保険会社の安心保障、建設会社の安心設計等、最近は安心という言葉が流行しているようです。多くの食品企業の品質方針、食品安全方針には「安全で安心な製品を提供する」の一行が入っています。食品安全とは「意図される用途に従って調理及び/又は喫食された時に、その食品が消費者への危害を引き起こさないという保証(Codex)」です。

安心とは何でしょうか。辞書を引くと「心配や不安がなく、心が安らぐこと」と書いてありました。農産物で言えば、ある人は国産というだけで安心し、ある人は栽培者と栽培方法まで知りたがり、また農薬管理や土壌、種子と、限りなくゼロリスクでなければ安心できない消費者もいます。 

立命館大学の東照二教授は日本人の特徴として、

漠然さ
曖昧さ
非論理性
逃避思考
をあげられています。食品企業の審査でマニュアルや手順に、この特徴を全て備えている企業さんも少なくありません。「外国人に通用するかな」などと独り言を言いながら拝見していますが、「安心」とはこの4つの特徴に象徴される、日本人にとって非常に使いやすい言葉ではないでしょうか。 

安全は科学的評価によってもたらされるもの、安心は消費者の判断に委ねられるものです。すべてのお客様に安心を与えることは、安全に関し無限の情報を提供することで、それは行政や企業にとって可能でしょうか。「当社はお客様に安全で、安心な製品を提供します」は「当社はお客様に安全にご使用していただくための意図した用途に関する情報と、安心していただくための情報を可能な限り提供します」、ではいかがでしょうか。
えっ、もっと解かりにくい・・・GOMAMEの実力の限界ですかね。 

(掲載日:2009年8月5日)

【GOMAME先生の食品コラム】
LRQA ジャパン所属の食品審査員が、当サイトにて書き下ろした食品にまつわるコラム(全6回)。ちなみに、ごまめ(GOMAME)とは、正月料理の「田作り」のことで、カタクチイワシの幼魚を生干したもの。

 

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