【事業継続】事業継続マネジメントの基礎 BCM(4):BIAとは?

 前回は、「新型インフルエンザ対策は経営資源の内、ヒトに着目している」ことをご説明しましたが、今回からは、これを「ヒト・モノ・カネ」に加え、「情報」にも着目していきます。
「ヒト」単独と違い、要素が増えますから複雑になります。
この増えた要素に基づき企業内の相対的価値(重要度)を決める方法を、BIA (Business Impact Analysis) といいます。 

BIAは一般的に4段階(A・B・C・D表)あります。
この全てが必要になるのは、おおむね従業員数が2,000名を超える大手企業で、中堅企業は3段階(B・C・D表)、中小企業は2段階(C・D表)が必要になります。

まずA表で、その企業にとって価値が高い(事業が停止するとその企業が大いに困る)事業部・工場・支店・店舗を選出します。
本来は全ての事業部などに対してB・C・D表を実施する方が良いのですが、作業量が増加しますから、価値が高い事業部などに絞るわけです。
対応方法の一つとして、全事業部等を3ランクに区分し、初年度はトップランクについてB・C・D表を行い、翌年度はその次のランク、3年目度は最後のランクを実施することもあります。
 「換算値」は、本来著しく異なる各要素を比較し、優先順位を決めるために便宜的に使う値で、企業により、または、経営者により異なります。

表1 BIA(A表)

次にB表です。
B表は、事業部等の業務の価値(停止するとその事業部が大いに困る)の高いグループ・課・班などを選びます。
ここでも、本来は全てのグループ等に対し次のC・D表の作業を実施した方が良いのですが、作業量が増加しますから、業務価値の高いグループなどに絞ります。

表2 BIA(B表)

C表は、グループ等の工程(プロセス)について、停止するとそのグループが大いに困り、D表の作業を実施する工程を選び出すためのものです。
なお、C表にある代替手順書は、代替要員・代替部材・代替設備で工程を継続さるためのものです。再開手順書は、工程が停止した場合に担当者以外のものが再開出来る手順を明記します。

表3 BIA(C表)

最後がD表です。
BIAの目的は、「その企業にとって高い価値がある(欠乏・中断・混乱すると大いに困る)経営資源を選出すること」ですから、このD表が一番重要です。
今までのA・B・C表は、D表を実施するために予備的作業とも言えますが、副次的にはその企業にとって高い価値がある事業部や業務などの把握に有用です。
D表には必要に応じ、無形財、周辺環境、外注先などを含めます。

表4 BIA(D表)

D表の「要員」が、新型インフルエンザ対策のBCP(事業継続計画)では中心になります。
地震や火事の対策は、要員・有形財・費用・データに関係するようになります。

ここまでで、ご理解いただけると思いますが、事業継続マネジメント(BCM)の目的は、「企業が災害・事故・事件で困り、場合によっては倒産するのは、重要な経営資源が欠乏・中断・混乱する結果である」とし、そのために重要な経営資源に欠乏などが発生しない方策を講ずることです。
その方策の一番目が、「重要な経営資源を選ぶ」ことであり、その二番目が「重要な経営資源については代替対策(継続対策)を講ずる」ことです。

次回は、目標復旧時間(RTO)について、ご説明いたします。


事業継続マネジメントの基礎(BCM) コラム著者

LRQA ジャパン エキスパート 
一般社団法人レジリンス協会 理事 
黄野 吉博 


(掲載日:2009年11月6日)

    

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