【食品安全】GOMAME先生の食品コラム(6):食品安全とは

2009年6月から始めましたこのコラムも、最終回を迎えることになりました。

LRQAの食品安全確保のための活動は、2003年2月にLRQAの現・グローバル・フード・マネジャーであるコール・グローンフェルトの提案により、アジアのLRQA食品専門審査員が集まり、食品サプライチェーン全体の食品安全を確保する仕組について一週間、議論をしたことから始まり、7年目となりました。

当時は「食品サプライチェーンの上流から下流まで、ISO 9001認証登録組織間のインターフェースをLRQA独自のスキームにより認証することで、農場からフォークまでの食品安全を確保する仕組みを構築することを考えていました。

その後、グローンフェルトが、食品安全の国際規格であるISO 22000ワーキンググループのメンバーに就任したこともあって、LRQA独自の活動は一時中断し、ISO 22000の進捗にあわせ活動することとしました。

オランダ認定機関RvAが制定したHACCP、GMP+等の国際規格のトレーニングを継続していましたが、2004年9月、国際規格草案であるISO 22000/DISを基に、アジアの食品審査員が再度集まりワークショップを実施、その後、LRQAの国際的整合性をもって活動を再開しました。

その頃は、2000年に起きた乳製品の安全性に関する事件が消費者の食品安全に関する関心を急激に高めた時期でもありました。

近頃はISOやHACCPの導入により、食品製造から発生する事件や事故は減少していますが、相変わらず食品回収は続いています。経営者の意図した偽装は論外として、その多くはアウトソーシングした食品及び輸入した食品です。ISO 22000が求めている「フードチェーン全体の食品安全システム」は当然アウトソースする食品、輸入する食品にも適用されるべきです。製品や食品原料の多くを海外に求める日本こそ国際規格が必要です。

最近の経済情勢を反映して食品の値下げ競争が始まっています。

価格について、青木淳氏は著書「プライシング」の中でこのように説いています(宮内昭氏「YRCだより」より転載)。

「価格とは値(あたい)の位(くらい)である。顧客にとって、どれほどのバリューを有しているかを金銭という共通指標の上で格付けたもの」

すなわち、節操のない低価格競争は自らの製品の価値を否定していることになります。食品の最も大切な価値「食品安全」を犠牲にした価格競争が起きないことを願って止みません。

食品産業は原料が天然物であり、季節・気候、栽培条件等で毎日の原料変化に対応しながら、プロセスの管理をし、製品の最終検査は官能に頼っているのが実態です。また、自動車や航空機、原子力等の他の産業に比べ歴史の長い産業です(縄文時代から始まっているといっても過言ではないと思います)。技術は口伝で伝えられてきましたから、文書化が苦手な産業であることも事実です。しかも消費者は幼児、老人、病弱者等幅広く特定できず、食品安全が最大の要求事項です。

先人が残した食品安全に関する知識や知恵は、当時は科学的に根拠を明確に出来ませんでしたが、現在はかなり可能になりました。国(世界)の基幹である食品産業だからこそ、HACCPを基本としたISO 22000を導入し科学的・論理的に管理できる産業に発展させることが必要であり、LRQAに、そのお手伝いをさせていただければ幸いです。

長い間ご愛読いただきまして、ありがとうございました。

(掲載日:2010年1月6日)


【GOMAME先生の食品コラム】
LRQA ジャパン所属の食品審査員が、当サイトにて書き下ろした食品にまつわるコラム(全6回)。ちなみに、ごまめ(GOMAME)とは、正月料理の「田作り」のことで、カタクチイワシの幼魚を生干したもの。

 

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世界の食品産業は、21世紀に入ってパラダイムシフトを経験しました。小売業者と製造業者による世界食品安全イニシアチブ(GFSI:Global Food Safety Initiative)は、諸規格の調和に加えて、国際的な第三者による評価および認証の信頼性向上を目指す方向へと舵を切りました。