【鉄道】鉄道産業の現状と国際標準(1):鉄道産業の国際標準「IRIS」誕生の背景

『歴史と伝統を実感する史跡、深い森や雪を抱く山々、そして流行を発信するファッショナブルな街など、多彩な見所を持つヨーロッパ。その奥深い魅力を満喫するには、鉄道旅行が最適です。』とヨーロッパ旅行を誘うパンフレットにも鉄道の旅が多く紹介されるようになって来ました。そのような中、その品質と安全を確保していくために、ヨーロッパの鉄道車輌メーカー(総合システムインテグレーター)が集結して、2006年、国際的な鉄道業界の品質マネジメントシステム規格 IRIS (International Railway Industry Standard) を誕生させました。

ヨーロッパの運輸政策の始まりは1958年1月1日に発効した欧州経済共同体設立に関わるローマ条約に端を発します。単一共同市場の形成から加盟国間の障壁除去を図り、人、物、サービス、資本の自由な移動を可能にするように鉄道もまた、国境を横断した相互運用(インターオペラビリティ)を意識するようになりました。国営の鉄道会社は民営化により財務体質の改善、鉄道インフラ事業と運行・輸送業務の分離によるインフラ(鉄道線路)の使用権付与等を行い、その結果として事業の合理化とコスト低減で業界再編が起こりました。いわゆる鉄道業界の Big-3 (アルストーム, シーメンス、ボンバルディアと呼ばれる社は、鉄道総合システムインテグレーターとしてマーケットシェアを大きく伸ばすようになってきました。  

鉄道産業界は1991年にUNIFE (欧州鉄道産業連盟) を設立させ、それは今日、鉄道輸送システム、サブシステム、及び関連する設備の設計、製造、メンテナンス、及び改修などを行う会社の代表組織として存在するようになりました。そしてUNIFEは2006年に航空宇宙産業界規格(AS 9100)、自動車産業界規格(ISO/TS 16949)、食品産業界規格(ISO 22000)と同等のセクター規格としてIRIS規格を世に送り出したのです。 

UNIFEはまず、IRIS規格の制定を含むIRISシステムの開発・実施、『IRISマネジメントセンター』の設置、及び審査登録機関承認のための機関として『IRIS運営委員会』を設置しました。さらに、『審査員認定委員会』を設けて、審査員のトレーニング、試験、審査員グレード、審査員パフォーマンスモニタリングなどについて行う役割を持たせました。この『IRISマネジメントセンター』はIRISシステムを推進し、実施する実務部隊として運営されますが、IRISに関する情報公開窓口、審査登録機関との契約とその監視、審査員トレーニング、IRISウェブサイトやデータベースの維持管理などを行うことになっています。 ちなみIRISウェブサイト(http://www.iris-rail.org/)では、認定されている審査機関14社と認証登録された組織(2010年2月23日時点で404社)が登録された製品分野ごとに自由に検索、閲覧できるようになっています。

(掲載日:2010年3月3日)

    

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