【鉄道】鉄道産業の現状と国際標準(3):鉄道産業のマネジメントシステムの必要性

『東海旅客鉄道(JR東海)は4月19日、高速鉄道システムの米国での売り込み先を新幹線3路線、リニア1路線に絞り込む方針を明らかにした。』と報じられましたが、これは少子化が進む日本国内だけでは中長期的な成長は見込めないとの危機感が新市場開拓へ背中を押したものと考えられました。確かに海外では高速鉄道の新規プロジェクトが目白押しで、多くの資金の投入が計画されています。米国では今後5年間で130億ドル(約1兆2000億円)の連邦予算が投じられる予定で、ブラジルでも50兆円規模の巨額のインフラ投資が進められて高速鉄道はその緒戦とされています。しかしながら、これらの新市場においては思いのほか競争も激しく、仏・独・中国・韓国のメーカの台頭が目立ってきて、技術の新幹線といえども苦戦を強いられている状況のようです。 

鉄道業界のBig-3(アルストーム, シーメンス, ボンバルディア)と呼ばれる3社が、鉄道総合システムインテグレータとしてマーケットシェアを大きく伸ばすようになってきたことは第1回でも述べましたが、海外の鉄道プロジェクトに関わるビジネスではBOT (Build, Operate & Transfer: 外国企業が自ら資金調達を行なって途上国に鉄道を施設し、一定期間現地で操業を行い、その収益で投下資本を回収した後にその鉄道施設を相手国に引き渡す方式) 案件が主流となっています。特に新興国や開発途上国のプロジェクトでは客先が鉄道事業に全く経験がない場合も珍しくなく、様々なニーズに適切に対応し、ビジネスとして展開するのがこのシステムインテグレータのサービスとなっています。ちなみに、鉄道の世界市場(車両、サービス、信号システム設備などで、日本市場、貨車、軌道施設インフラ、電力設備等は除く) の2006年~2008年の平均売上高は50.3B$(約5兆円)で、このシステムインテグレータ3社で約56%の世界シェアを占めています。

これらのシステムインテグレータは、高度な品質や安全性が求められる鉄道車輌と部品、及びその製造メーカに対して、これまでそれぞれ異なる品質要求やシステム監査を実施してきていました。それらはやがて統一したマネジメントシステム規格を生み出す背景となり、結局業界の統一したIRIS規格(国際鉄道産業標準)に基づいた認証取得を取引条件としてサプライヤーへ要求しはじめるようになってきました。

今後は鉄道業界におけるサプライヤーは、国内と海外の鉄道産業の状況とその動きを眼中に入れて海外のシステムインテグレータとの取引をも考慮することが必要となってくるものと思われますが、それにおいては『IRIS認証』は取引開始への有効なパスポートになるものと考えられます。 


(掲載日:2010年5月6日)

    

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