【食品安全】異物混入(1):混入異物の調査方法

異物対策、それは食品製造業にとって避けては通れない道でしょう。お買い上げ頂いたお客様にとって考えていなかったものが入っていれば、それが異物となるわけで、それは購入後、使用してからも同じです。

異物として認識されるものの大部分は虫や毛髪、その他ガラス片など目に見えるものが主です。しかし、最近ではアレルゲンや薬剤など目に見えない、あるいは見えにくいものも異物として取り上げられるようになりました。

そのような異物ですが、混入していたとお客様からご相談頂きますと、食品業界の方々が行うのは「分析」です。最近では検査できる項目も増えてきており、これまでは分からなかったものが分かるようになり、しかも迅速に分かるようになっているようです。
金属などが混入した場合は化学分析にかけて内容物を波長等で示し、その金属が何であるかを調べることができます。明らかに金属異物があった場合、その製造ラインで使用されている機器の素材を調べておき、可能ならば比較サンプルとして異物と一緒に分析を行うと、同じ波長を示すかどうかが分かるようです。このような分析は民間の分析機関も多く実施していますし、地方自治体によっては、公立の工業技術センタでも調べてくれるようです。ただし、検査にはある程度の大きさが必要で、場合によっては破壊することもあるそうです。

分析に出したデータを見たことがありますが、比較サンプルと全く同じ波長の軌跡を示したデータには驚きが隠せませんでした。また、金属片にタンパクが付着していた場合も、金属の波長だけでなく、タンパクの波長まではっきりと分かりました。 聞いた話では、金属異物があり、製造ラインの素材を比較サンプルとして送ったところ波長が異なり、違う金属と判定されました。問題のあった製品を製造する数日前に、機械のメンテナンスのため業者さんが工場内に立ち入ったそうなので、その時に場内に持ち込んだものと比較したところ同じ波長を示し、その結果、同じロットの製品を回収せずに済んだようです。 虫らしきものが混入していた場合は、専門の防虫業者(PCO)に同定依頼をすることが多いと思います。触覚や脚の一部などだけでは正確な同定が困難な場合が多いですが、完全体であれば高い確率で同定できます。同定結果はお客様への報告のためだけでなく、再発防止のためのデータにもなります。例えば、クレームのあった製品の製造時期に同じ種類の虫がどこでどの程度捕獲されていたかが分かれば、自社混入での可能性だけでなく、対策案も浮かんできます。

7年ほど前でしょうか、虫の混入時期を推定する方法がないだろうかと実験をしていたグループがありました。昆虫が熱処理をされているか、死後長時間経過しているかどうかを推定する指標の一つとしてカタラーゼ活性というものがありますが、その泡の出かたで更に時期の特定が出来ないかというものでした。古い論文ですから残っているかどうかは分かりませんが、日本ペストロジー学会が発行している学会誌に過去掲載されましたから、そちらに問い合わせてみるのもいいかもしれません。筆者が覚えている範囲で申し上げますと、死後の経過時間か熱の温度かどちらかの影響を受けて、泡の出かたが5段階程度に分類できていました。

分析する検体及び分析の結果には、再発防止策を考えるための貴重な情報が数多く含まれています。お客様への報告資料に使うだけではなく、対策立案のための資料としても使って頂きたいものです。そのためにも、正確な分析結果が必要であり、場合によっては外部に委託する必要があるのかもしれません。検定料金もそれなりにしますので、個々の会社で委託するのではなく、いくつかの会社がグループになって一つの検査機関に委託すれば、絶対とは言いませんが、もしかすると費用も若干安くなるかもしれませんよ。

(掲載日:2010年9月7日)

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