【食品安全】異物混入(3):毛髪対策

毛髪の混入は海外の国ではクレームにならないと言われていますが、我が国ではクレームとして多く発生しています。しかし、毛髪については、「製造由来か」、「消費時点か」が特定しにくく、人から毛髪を無くすことが出来ないため、食品製造業としてもその対策に苦慮されていることと思います。

よく行われている主な毛髪対策には、次のようなものがあるのではないでしょうか。

  1. 帽子を被る。
  2. 入室時にローラーがけをする。
  3. 静電気が発生しにくいユニフォームを着用する。
  4. 袖口部分と足首部分が絞ってあるタイプのユニフォームを着用する。
  5. エアシャワーを設置する。

皆さんはどのように帽子を選んでいますでしょうか?
耳がかかる程度の大きさのものから、肩よりも長く、着用するときにユニフォームの中に入れるタイプ、顔の表面と接するところがゴムになっているタイプ等多種多様なものが使用されています。女性が多い職場、頭の動きがある仕事(目視検査など)、暑い中での仕事など、帽子を被る人の特徴に合わせた帽子選びが重要であることは言うまでもありませんが、なかなか使う側の意見を取り入れていないところもあるようです。
最近では、耳を帽子の外に出し、そこにメガネを直接かけ、その部分をまた外から覆うタイプの帽子が出ており、メガネをかけている人が違和感なく、そして毛髪がでにくいタイプの帽子もあるようです。

ローラーがけやエアシャワーも効果的な対策の道具です。しかし、選び方によっては効果が減少します。例えばローラーですが、どのような基準で選んでいますか?

柄の長さやローラー部分の幅などで、使いやすさや効果が違ってくるのは言うまでもありません。柄が長いものは背中まで届きますが、脇の部分など近い場所には向きません。逆に柄の短いものは、脇の下や股下などの細かい部分までかけられますが、手の長さにより隅々までは届きません。そのような一長一短があるわけですから、どの程度までの毛髪を除去するかをあらかじめ決めておく必要があるかもしれません。入室時のローラーと、場内で使用するローラーを使い分けしている組織もあります。場内で使用するものは他の人にローラーがけしてもらうので、ある程度柄の短いタイプが選ばれているようです。
エアシャワーでよく見かけるのが、顔の部分に風が当たらないように向きが調整されている、風量が明らかに弱い、風の出る時間が短い、風が完全に止まる前に出て行ってしまう等です。決まった時間、エアシャワー内に留まらせるために、風が止まるまで開かないように自動で設定できるタイプもありますし、一定時間何かをさせる(例;エアシャワーの中で自分の名簿に色付けをさせる)などの工夫も必要かもしれません。

皆さんは工場の中の毛髪がどのようなものかご存知ですか?
ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、人毛か獣毛かどうかを見る方法にスンプ法と呼ばれるものがあります。これは、スンプ液というものを毛に垂らし、実態顕微鏡で見ると、人毛ならば通常はキューティクルが確認でき、犬や猫の毛ならばその特徴が見えます。それによって、混入していた毛が消費者の飼っていた猫であったというケースもあったようです。インターネットで「スンプ法」と入力すれば検索可能です。

また、工場内に落ちている毛は抜け毛ですか?切れ毛ですか?
筆者の前職では、同僚が調査を行い、工場内に落ちている毛の大部分は切れて落ちたものであるという結果がでています。これは、帽子から若干はみ出している毛が帽子に摺れて切れたためであると考えられました。切れたものか抜けたものかは毛を顕微鏡で見ると推定できます。一度調べてみてはいかがですか?

(掲載日:2010年11月2日)

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