【食品安全】FSSC 22000 特別座談会:食品製造の安全性を社内外へ証明できるFSSC 22000

LRQA ジャパン 食品審査員

FSSC 22000の認証取得で、安全な製造プロセスを見える化。
現状把握と弱点強化が実現でき、食品安全のレベルアップを実現。

FSSC 22000 特別座談会の様子

食の安全に関する事件が跡を絶たない中で、食品小売業界が中心となり設立されたGFSI(Global Food Safety Initiative)が、2010年2月に規格化して大きな注目を集めている、FSSC 22000(食品安全マネジメントシステム)。今回は、LRQA ジャパンの4人の審査員が集まり、食の安全とFSSC 22000について特別座談会を行いました。

食の安全に関する様々な事件が起こる中で、食品メーカーにおける食品安全への意識、取り組みはどのように変化していますか?


消費者の目が非常に厳しくなっていますから、メーカーの危機意識は強まり、食品安全レベルは向上してきていると思います。しかし、食品業界では、科学的、論理的に食品安全を保証する方法が確立しておらず、メーカーではどこまで安全対策を行っていけばよいかを見極めているという状況ではないでしょうか。

楠元
審査を行っていると、決められた手順が、本当に安全かどうか、現場の方々から質問されることがあります。現場レベルで、自分たちの安全レベルを向上したいという意識が高まっていると思います。

坂下
一方で、今まで安全な食づくりを行ってきたのに、なぜ、新しい取り組みをしていかなければいけないのか、という声も現場から聞こえてくるようです。安全であれば必ずしも新たな対策が必要というわけではありませんが、なぜ安全なものをつくることができていたのかを考えることは必要です。

田中
日本では、現場のオペレーターのレベルが高いですから、安全対策を徹底させるには、まず科学的、論理的な根拠を示して納得させることが重要です。その根拠となるのが、ISO 22000やFSSC 22000だと思います。

ISO 22000やPAS 220、FSSC 22000などの食品安全認証が続々と登場してきましたが、どのような規格となっているのでしょうか?


食品メーカーでも普及してきたISO 9001は、製品そのものの認証ではなく製造プロセスの認証です。とはいえ、一度でも食中毒が起こってしまうと終わりですから、科学的な根拠を明確にして、製品認証に近づかなければなりませんでした。ISO 22000は科学的根拠を明確化することが求められているのが大きな特徴です。

坂下
これまでISO 22000の7.2.3項(前提条件プログラム)である工場の衛生管理など食品安全に関する前提条件の基準は、国によってバラバラでした。これを詳細に規定して国際的な統一基準にしたのがPAS 220です。そして、ISO 22000にPAS 220を盛り込んだのが、2010年に規格化されたFSSC 22000。これは食品小売業界が中心となり2000年に設立されたGFSI(Global Food Safety Initiative)が規格化したものです。

楠元
食品製造メーカーでは流通業界から第二者監査が頻繁に行われ、コスト的にも、労力的にも大きな負担となっていましたが、FSSC 22000は食品小売業界が中心となり国際的に統一した基準のため、この認証を取得すれば第二者監査が削減されることが期待されています。

こうした食品安全の認証を取得することにどのようなメリットがあるのでしょうか?


規格では、レベルが高いことを要求されているわけではなく、本来食品メーカーでやらなければならないことが書かれているだけです。元々、日本の食品メーカーの安全レベルは比較的高いですから、その要求事項を満たしていることも多いと思いますが、認証を取得することで第三者へその安全性を証明していくことができます。また、食品メーカーでは、昔から“体で覚える”という文化が根付いています。認証を取得することは、口伝えのノウハウ“暗黙知”を文書化して“形式知”として、みんなに見える化できるいいチャンスだと思います。

楠元
以前、団塊の世代が退職してしまい製造ノウハウがなくなってしまうという2007年問題が話題となりましたが、現在、食品メーカーの現場の管理者は30代が多く、失敗事例や暗黙知といったノウハウを持たない世代となっています。そうした世代のために一刻も早く手順、ノウハウを文書化して残していくことは重要でしょう。

坂下
認証取得を通して、現状のプロセスの正しい部分や弱点を把握することができます。正しいことが分かればそれを第三者に証明できますし、弱点を見える化すればそれを強化するきっかけとなります。HACCPが登場したときに設備投資などの多大なコストが掛かると言われましたが、弱点の強化には知恵を使えばよいだけで、新しい設備を導入する必要はありません。

田中
現場の従業員の責任、権限を明確化することもできますね。部門間の役割、プロセスが見える化できますから、改善提案もしやすくなり、業務の効率化や業績向上にもつながるでしょう。また、現場の役割が明確化することで、働きやすくなり、従業員が辞めなくなったという声を聞くこともあります。マネジメントシステムの導入を成功させるには、経営者がトップダウンで積極的に取り組み、現場レベルまで浸透させることが大切だと思います。

では、LRQA ジャパンはこうした食品安全認証において、どのような審査を提供しているのでしょうか?


LRQAの国際食品安全のエキスパート(専門家)であるコール・グローンフェルトが、オランダに拠点を置き、FSSC 22000を開発・運営しているFoundation for Food Safety Certification(FFSC)の会長を務めていることもあり、グローバルな情報をリアルタイムで入手しています。また、食品業界の微生物の専門家を技術顧問に迎えて微生物に関する最新の情報も入手するなど、豊富なノウハウを有しています。

楠元
LRQA ジャパンの食品審査員は、食品業界での実務経験があります。現場を知り尽くしていますから、的確で有意義な指摘ができると考えています。食品安全認証の審査登録は、LRQA ジャパンで行っていただきたいですね。


グローバルなフードチェーンの食品安全の向上へ。

GFSI日本会議「フード・セーフティ・デー」レポート

2010年10月18日(月) 東京国際フォーラム

2010年 GFSI日本会議「フード・セーフティ・デー」2010年10月18日、東京国際フォーラムにて今年で3回目となるGFSI日本会議「フード・セーフティ・デー」が開催されました。開催1ヶ月前には満席となり、急遽収容人数を大幅に拡大したイベントは、350名を超える盛況ぶり。LRQA ジャパンも、今回スポンサー企業として出展しました。

午前10時からの講演プログラムは、GFSI理事長のご挨拶やGFSI関係者によるGFSI紹介に続き、各講演がスタート。日本生活協同組合連合会 執行役 内堀氏、味の素株式会社 品質保証部統括部長 上田氏の講演では、消費者とのコミュニケーションの重要性が強調されました。

また、午後に開催されたパネルディスカッションでは、フードチェーン全体のコミュニケーションについても話し合われ、パネリストからは「消費者からも食品安全に関して、GFSIに意見を提出していきたい」、「グローバルフードチェーンの底上げの必要性がある」といった意見が出てきました。また、日本適合性協会 生駒氏からは、「これからは審査のみならず、あらゆる点で厳しい“消費者目線”が求められる」という話が上がりました。

プログラム最後は、GFSIの成功事例としてFSSC 22000を日本国内でいち早く取得した南九州コカ・コーラプロダクツ株式会社 えびの工場 品質管理課長 渕脇氏が、「FSSC 22000の導入により、

  1. 明確な前提条件プログラムによる具体的なアクション
  2. 効果的なハザード管理の実現
  3. 実行性の高い継続的改善(PDCA)

が実現できた」と評価されました。

最後にキリンホールディングス株式会社 取締役会長 CGF理事 加藤氏から、「原材料もグローバル化している現代、食品の安全については競争しあうものではなく、国・業界の垣根を越えて、協力する必要がある」と語りかけ、閉会となりました。 

GFSIでは2月に英国ロンドンでの大きなイベントを予定しており、また、来年の日本での開催は、500名規模のイベントを予定しているそうです。


(掲載日:2010年12月17日)

関連コラム一覧 <開く>

コラム

全てのコラムを表示

【食品安全】お客様は「神様」:「信念に基づく消費」が、グローバルな食品サプライチェーンの持続可能性を牽引する

世界の食品産業は、21世紀に入ってパラダイムシフトを経験しました。小売業者と製造業者による世界食品安全イニシアチブ(GFSI:Global Food Safety Initiative)は、諸規格の調和に加えて、国際的な第三者による評価および認証の信頼性向上を目指す方向へと舵を切りました。