【CSR】松下幸之助歴史館を訪ねる

今も受け継がれる松下幸之助氏の理念すべての目的は、人々を幸福にすること。

創業50周年を記念して、1968年(昭和43年)に開館した、パナソニックミュージアム松下幸之助歴史館。同社の歴史を社員が勉強するために開館されたそうですが、当初から一般公開されて数多くの人々が訪れています。今回は、この歴史館で知ることができる松下幸之助氏の理念、足跡をご紹介いたします。

パナソニックミュージアム 松下幸之助歴史館 展示物と概観

企業は社会からの預かり物、その責任を果たさなければならない

“経営の神様”と呼ばれる松下幸之助氏が誕生したのは、1894年(明治27年)のこと。9歳で自転車屋に奉公した松下氏は、ここで商売の基本を叩き込まれ、商人としての心を育んでいきます。そして、大阪に開通した市内電車を見て、これからは電気の時代だと直感し電気会社に就職した松下氏は、仕事の傍らソケットを開発。そして、1918年(大正7年)に松下電気器具製作所を創立しました。

創業当初から、低価格で品質のよいアタッチメントプラグなどの商品を次々に生み出します。さらに、角型ランプを開発すると、販売店に無料提供するという販売戦略で、製品のよさが伝わり大ヒット。この角型ランプには、“国民の必需品にしたい”という意味からナショナルという名が付けられ、80年続くブランドが生まれたのです。

順調に発展を続ける中で、松下氏は“企業は社会からの預かりものであり、忠実に経営してその責任を果たさなければならない”と現代のCSR(企業の社会的責任)に通じる考え方を持ちはじめました。そして、1929年(昭和4年)の世界恐慌時には売上げが半減したものの、社員を総動員し在庫販売させることで、雇用を守り続けたのです。

さらに、1932年(昭和7年)5月5日に、全社員を集めて“水道水のように、物資を無尽蔵に生産して廉価で提供し、人々に幸福をもたらせたい”という「水道哲学」と、それを実現するための250年計画を発表。この崇高な経営理念と壮大な計画に社員たちは興奮のるつぼと化しました。この年が、同社の創業命知(真使命を知る)第1年となり、5月5日が創業記念日となったのです。

パナソニックミュージアム 松下幸之助歴史館 展示物

大企業も個人商店も同じお客様第一で、常に一商人なり

昭和初期には、自主責任体制の徹底と経営者の育成のために、事業経営を製品別に分けた事業部制を導入。“ものをつくる前に人をつくる”という理念のもと様々な人材育成を行うとともに、海外には販売会社を設立するなど、画期的な取り組みを続々と行い大きな発展を遂げていきました。

そして、昭和30年代には世界中から注目される企業に成長していきましたが、松下氏の原点となっていたのは商人としての心。“社員が何万人の大企業でも、お客様相手という意味では個人商店と同じ。常に一商人なりとの観念を忘れず、質実謙譲を旨として業務に処すること”。これは、社内内規となっています。

そして、会長に就任してからは社会貢献に力を入れ、“物心両面の繁栄こそ真 の平和と幸福を実現する”という理念のもとPHP研究を本格化させ、出版活動や啓発セミナーなどを行っていきました。さらに、各界の指導者を育成するために、松下政経塾を開塾しました。一企業人の枠を越えた活動を行ってきた松下幸之助氏。パナソニック、PHP研究所、松下政経塾、そのすべての目的は、世の中の人々を幸福にすること。松下幸之助氏の理念、そしてその足跡は、今も色褪せることなく、世代を超えて脈々と受け継がれています。


パナソニックミュージアム 松下幸之助歴史館

パナソニックミュージアム 松下幸之助歴史館 ご案内一般公開され、毎年約4万人もの人々が訪れている松下幸之助歴史館。製品展示のほか、松下氏が語るビデオ映像も多数あり、松下氏の経営哲学を学ぶ場として、企業研修で見学に訪れることも多いそうです。

〒571-8501 大阪府門真市大字門真1006
TEL 06-6906-0106
開館時間:午前9時~午後5時
休館日:日曜日・祝日
入館料:無料


(掲載日:2010年12月17日)

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