【食品安全】臭い対策(1):化学物質による「臭い」の食品への移行

食品の保管・運搬時に周囲の揮発性物質が容器包装を透過して食品に移行する、あるいは包装フィルム由来の有機溶剤が食品に移行するという食品の苦情があります。

記憶されている方も多いと思いますが「即席カップめん」に家庭用衣類防虫剤成分パラジクロロベンゼンが侵入して油揚げ乾燥即席めんに吸着し、苦情があり回収が行われました。これは、容器カップを発泡スチロールから紙とポリエチレンの三層構造の「ECOカップ」に変えたことが原因でした。また、学校給食牛乳を飲んだ102校から、異味異臭がすると苦情が出たことがありました。開封済みと未開封の牛乳を分析した結果、柑橘系の香味成分リモネンが検出されています。原因は3室ある業務用冷蔵倉庫の中央に、ポリエチレンコーティングされた牛乳紙パック、両隣には柑橘類が貯蔵されており、通路を伝わって侵入した香りが包材を通して牛乳に移行したものです。通常保管は7時間程度ですが今回は休日が挟まり30時間と長かったことが影響したと報告されています。ミネラルウォーターでも、フランスからの輸入コンテナー内のペンキの臭いが移行した、あるいは長期間倉庫に保管中、かび臭が移行して自主回収が起こっています。ウイスキーへのかび臭移行を検討した報告によると、キャップライナーの瓶口側材質のガスバリア性を向上させることで流通・保管環境での移行は防止できるそうです。

PET容器でも同様にキャップとライナーの材質をガスバリアの高いものにする必要があります。包装材料の酸素透過性が高いものは「移り香」が起こり易く、ポリエチレンテレフタレート(PET)とポリプロピレン(PP)ラミネートフィルムが強い透過阻害を示すと言われており、一般的に家庭で使用されているポリエチレンは酸素透過性が高く移り香を防ぐことはできません。使用前の包材保管でも「移り香」が起こる可能性があります。保管倉庫内で木製パレットを使用しているとかび臭発生の原因になりますので、点検項目に包材保管倉庫内の臭い(臭気)を加えることをお勧めします。

他には、韓国製クリームサンドせんべい、国産クリームサンドウエハーでシンナー臭がするという苦情が発生し、分析の結果製品からトルエンが検出されました。包装フィルムの検査を行った結果ともにトルエンが検出されました。この包材はラミネートフィルムであり印刷インクの溶剤及びフィルムを接着するための溶剤が残留したためです。印刷面の乾燥不足とラミネート乾燥工程の換気不足が原因と思はれます。食品材料用印刷インク、無溶剤型ラミネーターにより包材の有機溶剤残留を無くすことは可能ですが、事例のような包材の有機溶剤残留は、注意していれば包材使用前に気づくことができたはずです。

筆者の経験では、作業に携わる人の“感性”が磨かれた職場からは、全くと言ってよいほどクレームは起こりません。ぜひ、異常に対する職場の感性を高めましょう。

(掲載日:2011年1月6日)

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