【食品安全】食品(1):ISO/TS 22002-1:2009への対応 -ハード的対策を選びますか、それともソフト的対策を選びますか-

ISO/TS 22002-1:2009は、食品製造に対するISO 22000:2005の前提条件プログラムを支援するものです。その要求事項をどのように満たすかは、ISO 22000:2005の要求事項と同じように組織が決めることです。それは、ハード面(施設改善など)でもソフト面(人による改善など)でも構いません。施設の改善などハード面での対策に目を向けがちですが、重要なのは、前提条件プログラムによる食品安全ハザードの起こり易さを、『いかに管理するか』ということです。
下記には、ハード的対策もしくはソフト的対策のいずれかを選びやすい要求事項を選びました。他の要求事項でも、両面から考えることは可能かもしれません。

4. 建物の構造と配置

ここでは、皆さんの業務の特性と、それに関連する食品安全ハザード、並びに工場の環境からの汚染源の発生や侵入を防げる建物であることを要求しています。 

ハード 要求事項 ソフト
インターロックの設置による侵入防止処置。 食品製造は、潜在的に危険物質が製品に入らない区域で行なわなければならない。 開放厳禁の徹底による侵入防止処理。
フェンスによる境界の明確化。 敷地の境界は明らかに特定できなければならない。 図面による境界の明確化。
監視カメラや警報システムによる管理。 敷地へのアクセスは管理されなければならない。 出入口の特定による管理。
水はけの良いアスファルトへの変更。 道、構内及び駐車場は、水溜りを防ぐために水抜きされ、保守されなければならない。 水溜りがあれば吸い取る。

5. 施設及び作業区域の配置

ここでは、工場内の配置が衛生的になることを要求しています。

ハード 要求事項 ソフト
ライン変更による空間確保。部屋の増設による空間確保。  材料、製品及び要員の合理的な流れ、並びに加工区域から原料の物理的な隔離を伴う、十分な空間を提供しなければならない。 整理・整頓による空間の確保。
インターロック、自動シャッター、ストリップカーテンによる侵入防止。 材料の搬送のための開放は、異物と有害生物の侵入を最小限にするように設計されなければならない。 開放スペースと開放時間の制限による侵入防止。
アールの設置清掃・洗浄器具の工夫。 壁と床の接合部及び隅は、清掃・洗浄がしやすいように設計されていなければならない。 清掃・洗浄方法
水はけの良い塗装剤。勾配の設置。 床は、水溜りを避けるように設計されなければならない。 水切りの徹底。吸い取りの徹底。
埋め込みによる最小化。カバーによる最小化。 天井と頭上の設備は、埃及び結露の蓄積を最小にするように設計されなければならない。 清掃方法と頻度の工夫。 
装置の移設。 装置は、作業、清掃・洗浄及び保守がしやすいように配置されなければならない。 清掃・洗浄方法の変更。保守方法の変更。

6. ユーティリティ

ここでは、工場で使用するユーティリティによる製品汚染リスクを最小にすることを要求しています。

ハード 要求事項 ソフト
飛散防止タイプの設置。 照明設備は破損の際に、材料、製品または装置を汚染しないことを確実にするため、保護されていなければならない。 日常点検の徹底。破損時のルール化。

7. 廃棄物処理

ここでは、廃棄物が製品または製造環境を汚染しないようにすることを要求しています。 

ハード 要求事項 ソフト
加工ラインへのカバーの設置。加工ラインの移設。 排水管は、加工ラインの上を通過してはならない。 日常点検と漏れ時のルール化。

8. 装置の適切性、清掃・洗浄及び保守

ここでは、食品に接触する装置が、清掃・洗浄、消毒及び保守がしやすいことを要求しています。

ハード 要求事項 ソフト
装置の変更。 装置は、滑らかで、アクセスし易く、清掃・洗浄可能な表面でなければならない。 該当しない箇所を明確にし、清掃・洗浄方法を変更。
装置の変更。異物にならない方法での穴埋め。 穴、またはナット及びボルトによって貫通していない骨組みでなければならない。 該当箇所を明確にし、清潔度確認と清掃・洗浄方法の確立。
装置の変更。装置の操作方法の変更。 装置の操作者の手と製品との接触を最小にするように設計されなければならない。 接触後の手洗い・殺菌の徹底。

12. 有害生物(鼠族・昆虫等)の防除

ここでは、有害生物の活動を防止することを要求しています。

ハード 要求事項 ソフト
コーキング材や恒久的な方法での閉塞。 穴、排水管及び他の潜在的な有害生物アクセスポイントは、塞がなければならない。 アクセスポイントへのトラップ設置。
ネットや剣山タイプの鳩避け設置。 外部空間が保管のために使われる場合は、保管する物は、有害生物による損害から保護されなければならない。 置場の工夫。

13.要員の衛生及び従業員のための施設

ここでは、人の衛生と行動を管理することを要求しています。

ハード 要求事項 ソフト
手洗い設備の変更。 温水及び冷水または温度管理した水が提供される施設でなければならない。 お湯を準備し、随時水と併用。
センサー式や足踏み式に変更。 食品用及び装置の清掃・洗浄場所とは別の、手動ではない手洗い用のシンクをもっていること。 肘での開栓。手洗い後の効果的な手指消毒。
更衣室の移設。移動中の汚染防止用通路の設置。 更衣室は、作業着の清浄度のリスクが最小になるような方法で製造区域に移動することができる場所であること。 移動中の重ね着。粘着ローラーの徹底。
温蔵庫の設置。 社員食堂は、調理済みの食品の保管及び提供を確実にするために管理されなければならない。 保管時間の徹底。
作業着の変更。 作業着は、ボタンが付いていてはならない。作業着は、腰より上に外付けのポケットが付いていてはならない。 ボタンの割れチェックと発見時の対応方法確立。異物にならない方法でのポケットの閉塞またはポケットに何も入れないことの徹底。

16. 倉庫保管

ここでは、汚染源から保護された倉庫管理を要求しています。

ハード 要求事項 ソフト
ラックやネステナーの設置。 製品が積み重なる場所では、下段を保護するために必要な手段を講じる配慮をすることが望ましい。 積み付けの段数のルール化。 
専用の倉庫。 分別区域、または不適合として識別された材料を隔離する他の方法が提供されなければならない。 製品等に影響を与えない場所でのゾーニング。
専用化。 同じ車両、輸送車及びコンテナが食品及び非食品製品に使われる場合、清掃・洗浄は荷物の積載の間に実施しなければならない。 清掃・洗浄スケ


(掲載日:2011年4月6日)

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