【事業継続】セキュリティ(2):続・BCP(事業継続計画)について

このたびの東日本大震災により被災された皆様、ご家族、関係者の皆様に心からお見舞い申し上げますとともに、一刻もはやい復旧・復興をお祈り申し上げます。微力ながら私もできることから支援させていただきます。

今回の東日本大震災(以下「大地震」と表記します)の時間、私は横浜のランドマークタワー25階で品質内部監査員研修の講師を務めておりました。大地震発生直後から大きな横揺れに見舞われ、その後しばらく揺れは収まらず、研修を受講された方で時計を見てくださった方から、だいたい7~8分間揺れが継続していたと教えていただきました。その後も、数回大きな横揺れに見舞われ、そのたびに研修は一次中断することとなり、受講者の方々には大変なご不便をおかけしたこと、申し訳なく思っております。皆様、大変な恐怖を感じられたと思います。
私は、建築構造設計の知識がございましたので、ビル自体が倒壊することは無いと頭では理解していましたが、実際7~8分もの揺れにあいますと、体が緊張してこわばりました。しかし、緊張ばかりもできませんので、まず講師として真っ先に考えましたのは、受講者の方々の安全と安心でした。

安全の面からは、ビルが倒壊することはありませんが、机、スクリーン、ブラインド等により怪我をされる、あるいは窓硝子に当たって硝子が損傷し、怪我をされる事態を避けることが最優先でした。こちらはスクリーンをしまう、ブラインドを収納する等により問題はございませんでした。 安心については、建築構造設計の専門家であり、防災やBCMS(事業継続マネジメントシステム)についてもある程度、経験があることをアピールし、「安心ですよ」とお話をし、ビルが倒壊することは無い旨をお知らせいたしました。ただ、エレベーターはしばらく動かない、場合によると本日中に動くことは難しい旨もお伝えしました。(最終的には、18時頃、復旧しました。)

今回のような未曾有の大地震に対して、実際にBCP(事業継続計画書)を作成している企業では、それがどのように役にたったかについては、今後の各方面からの報告を待ちたいと思います。

さて、BCPを作成すれば今回のような大地震に対して、どう対応できるかについて少し考えてみたいと思います。
まずBCPを作成する場合には、リスクアセスメントを実施します。リスクアセスメントでは、リスクの特定、分析を行い、リスクの大きさと発生頻度などで評価します。その結果、どのリスクに対して、どのような対策を取るかというリスク対応が検討され、対応が実施されます。
では、その中で今回のような大地震や、想定を遙かに超える大津波を想定しているかといいますと、ほとんどのBCPでは想定していないと思われます。リスクは非常に大きいですが、発生頻度が極めて低いため、この類のリスクは、保有または共有(保険)と考えることが一般的です。

しかし、大規模な地震が実際に起こってしまいますと、今後は考慮せざるを得ないことも考えられます。たとえば、サプライチェーン(特に海外)から求められることなどが考えられます。企業規模が大きい場合、今回のような広域な災害が発生しても、それ以上に十分な距離をとった拠点(例えば仙台、名古屋、大阪、福岡といった電力会社が異なる地域など)があれば、操業度をできるだけ落とさずに、そちらを代替拠点として重要業務を継続することを検討できますが、中小企業であれば難しい場合が多いと思われます。
ここで中小企業が考えなければならないことは、何があっても会社を存続させるための重要業務は、周囲の同業他社(実際はかなり難しい場合もある)あるいは、サプライチェーン(例えば供給先、あるいは仕入れ先など)の中で、このような大規模災害が発生した際に実施すべきことを事前に考えて打合せを行い、その場合に必要な経営資源は何かを特定して準備しておくことが有効になってくると思います。

今回の大震災では、いくらリスクを想定しても、それを上回る災害が発生することがあることを実感させられました。防災の観点からは、その拠点をできるだけ安全にすることが求められますが、BCPでは防災対策の上、代替拠点を検討する意味が大きくなります。ここで注意しなければならないのは、代替拠点があれば、その拠点の防災対策をしなくて良いかといいますと、それは間違いです。会社を存続させる一番のキーは、ヒトだからです。

(後日談)
東日本大震災から約1ヶ月たち、ランドマークタワーの25階を再び訪れました。実際は揺れていないのにもかかわらず、外の景色を見て揺れている状況を思い出し、背中から腰にかけてゾクッとしました。もっと大きな揺れや津波に遭われた方の恐怖は、こんなことでは測り知ることはできないとは思いますが、大変な思いをされたとつくづく感じました。一日も早い復興を心からお祈り申し上げます。


(掲載日:2011年5月6日)

    

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