【食品安全】複雑なサプライチェーンに存在する食品安全のリスク。流通企業や食品メーカーが推進する、その解決策。

FSSC 22000の開発・運営機関であるFFSC会長/LRQAグローバル・フード・プロダクトマネジャー コール・グローンフェルト

製造メーカーをはじめ、農場、原料メーカー、流通・・・、複雑なサプライチェーンであるがゆえに、食品安全に対するリスクも大きい食品業界。グローバルな食品メーカーや流通企業では、どのようなリスク対策が行われているのでしょうか。今回は、FSSC 22000の開発・運営機関であるFFSCの会長を務める、LRQAグローバル・フード・プロダクトマネジャーのコール・グローンフェルトが、世界の食品業界の状況について解説いたします。


グローバルな食品業界を取り巻く食品安全のリスク

現在、グローバルな食品業界においても最重要のテーマとなっているのは、フードサプライチェーンにおける食品安全リスクの問題です。例えば、中国で粉ミルクにメラミンが混入して多くの患者が出た事件や、ドイツで家畜飼料にダイオキシンが混入され大量の豚肉などが回収された事件・・・、世界中で食品事件が頻発しています。米国のある調査では実に96%もの消費者が食品安全に関心を持っている、という結果が出ています。

農場、飼料、容器、製造、加工、流通・・・、様々な業者が混在しているフードサプライチェーン。食品メーカーでも、そこに大きなリスクを感じており、食の安全に関する取り組みが強化されています。しかし、私が世界中を飛び回る中で、まだまだ多くの不安要素が見受けられます。(図-1)

食品は必ず安全でなければならず、“少しだけ安全な食品”はありえません。こうした中で、食品業界が安全を実現していく最良の方法なのが、食品安全マネジメントシステムを導入することです。

複雑なフードサプライチェーン

世界的に導入が急加速しているFSSC 22000

現在、いくつかある食品安全マネジメントシステムの中でも、世界的に注目を集めているのが、FSSC 22000です。これは、ISO22000に、PAS220(前提条件プログラム)を盛り込んだものとなっています。

また、食品安全スキームには、流通業者や食品製造業者が定めた独自規格も数多くありますが、FSSC 22000は国際的かつ非営利団体が運営している独立した規格であるという点で大きく異なります。さらに、世界的な大手流通企業が中心となり設立されたGFSI(Global Food Safety Initiative)がFSSC 22000を承認しています。GFSIには、ウォルマート、イオンをはじめとするグローバルな流通企業、コカ・コーラ、ダノン、クラフトなどのグローバルな食品メーカーがメンバーとなっています。こうした流通企業が食品メーカーにFSSC 22000の認証取得を要求したり、大手食品メーカーが、そのサプライヤーに対して同様の要求をしているため、フードサプライチェーン全体でFSSC 22000の導入が急加速しようとしているのです。例えば、日本コカ・コーラではすでに約170のサプライヤーへFSSC 22000の導入を求めています。

リコール数や二者監査の削減に

GFSIとFSSC 22000FSSC 22000の導入は、食品安全マネジメントシステムを徹底的に検証する機会となり、単にハザードやリスクを防止するだけではなく、サプライチェーン全体を継続的に改善していくことができます。また、トレーサビリティーも有効に機能するため、何らかの問題が起こったときには、いち早くサプライチェーンのどこに問題があったかを把握でき、市場に出る前に問題を解決することにもつながるでしょう。サプライチェーンの透明性も高まり、流通企業との信頼関係も構築できます。すでにFSSC 22000を導入している企業では、リコール数が4年間で31%削減したという声も聞かれます。

食品安全には、“自分の業務が安全にどう関係していくか、を理解して業務を行う”という企業風土が重要です。FSSC 22000を導入することで、業務プロセスや責任・権限を明確化でき、社員一人ひとりが安全と向き合いながら仕事をしていくという風土を醸成できるでしょう。

FSSC 22000はGFSIが承認した規格ですので、認証を取得すれば、GFSIのメンバーであるグローバルな流通企業や食品メーカーの承認を得たことになります。ですから、これまで負担の大きかった二者監査は大きく削減できるでしょう。事実、認証取得企業からは監査コストが削減できたという声が多く上がっています。(図-2)

食品業界においても、今後、持続可能性や社会的責任などの問題がより重要視されてくるでしょう。こうした課題に対しても、FSSC 22000なら同じリスクベースのマネジメントシステムとして、リスクを的確に管理して対応していくことができます。

中小企業は3つのステップで効果的に導入

中小企業のFSSC 22000導入のステップとはいえ、中小企業では、食品安全マネジメントシステムの導入は難しいという意見もあるかもしれません。そこで、中小企業では、次の3つのステップで導入することをおススメします。

まず、最初のステップは、食品安全の前提条件である衛生環境を整備すること。これは食品メーカーに必須となります。次のステップはHACCPを導入することで、食品ハザードをコントロールするという重要なステップとなります。そして、最後のステップがマネジメントシステムを導入すること。これでFSSC 22000を確立、運用でき、継続的に改善できる体制となるのです。(図-3)

また、FSSC 22000の導入を成功させるポイントとなるのが、トップマネジメント自らが自社の状況をしっかりと把握して、積極的にその導入を推進すること。自社の状況の把握にはギャップ分析を行い、認証スキームと現状の差異を解析するといいでしょう。また、研修によって社内の理解度を深めることも大切です。  

グローバルな食品業界の情報、ノウハウを蓄積しているLRQA

私は、食品業界で商品開発をはじめ品質管理、製造など様々な仕事を経験してきましたが、やはり食品業界は特有な業界です。FSSC 22000の認証を取得する際には、この業界を知り尽くした審査機関でなければならないでしょう。LRQAでは、これまで食品業界において4,000件以上の審査実績があり、グローバル企業から中小企業まで様々な企業の審査を行っています。また、FSSC 22000の開発・運営機関であるFoundation for Food Safety Certification会長を務めているのは私ですから、LRQAにはグローバルな食品業界の最新情報、ノウハウが蓄積されています。

審査員についても、食品業界での経験があることはもちろん、研修や資格認定を行うなど審査員へ大きな投資をしていますから、審査クオリティは極めて高いといえます。単にチェックリストでチェックするだけではなく、審査をしながら改善につながる付加価値を生むのがLRQAの審査員です。さらに、セールス部門やマーケティング部門などが一体となり、審査だけではなくギャップ分析や研修などお客様のニーズに合わせたサービス、キメ細やかなサポートを提供いたします。FSSC 22000の審査はぜひLRQA ジャパンにお任せください。

私が日本を訪れると、いつも日本人のホスピタリティには感銘を受け、食べ物も楽しませてもらっています。日本では品質が重要視されていますし、努力を惜しまない方が多いですから、日本企業のFSSC 22000の導入も必ず成功して、グローバル市場でより存在感を増していくと確信しています。


(掲載日:2011年11月30日)

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