【食品安全】食品産業の課題(4):飼料産業と食品安全

私たちの日常生活では飼料が食品の原料であるという認識は余りありません。動物の体内は、天然原料を加工し食肉や乳を製造する食品製造プロセスそのものであり、飼料はその原料です。

飼料は穀類、糟糠類、植物性油粕等の植物性飼料及び魚粉や脱脂粉乳等の動物性飼料を原料とし、品質の低下防止、栄養成分の補給及び有効な利用のための飼料添加物の使用や家畜を病気から守るための動物用医薬品を添加しています。

飼料が動物の体内に持ち込む食品安全危害要因は動物の体内で低減や除去は難しく、食肉、鶏卵、乳等にその殆どが移行すると考えても過言ではありません。

飼料は「家畜等の栄養に供することを目的として使用される物」と定義され、食品製造プロセスである動物にとって不可欠な栄養源であると共に、天然原料が持ち込む重金属やダイオキシン等の化学的有害物質や有害微生物、及び飼料添加物が持ち込む化学的有害物質や製造工程で混入する有害微生物に汚染されることにより、人の健康に被害をもたらす原因となります。

世界的にも、欧州やアジアで起きた飼料のダイオキシン類汚染による汚染鶏肉の流通、メラミンの混入、水産養殖における抗菌剤マラカイトグリーン汚染など、飼料に起因する食品安全を脅かす事故が発生しています。また、抗菌性飼料添加物の使用による、薬剤耐性菌の出現も危惧されています。

そのため、飼料も食品同様に最終製品の検査による食品安全の確保からプロセスの管理による食品安全の仕組みが導入され、EUでは2005年にFAMI-QS(European Code of Practice For Feed Additive and Premixture Operators)が制定され、EU圏内への飼料添加物及びプレミックスの輸出にはこの認証登録が必要となりました。FAMI-QSはISO 22000:2005(食品安全マネジメントシステム)と同様にHACCPプログラムを用いた飼料安全マネジメントシステムで、LRQAはこの規格の審査登録機関として認定され、既に国内では2組織を認証し、登録しています。

また、GFSI(Global Food Safety Initiative)もISO 22000:2005のPRP(前提条件プログラム)を補強すべく、PAS 222:2011(Prerequisite programmes for food safety in the manufacture of food and feed for animals)を発行し、動物飼料安全マネジメントシステムの構築を推奨しています。

この様に、世界の飼料安全確保のための動きは急速に高まっています。

日本貿易会の統計によれば、飼料原料の穀物の輸入依存度は75%と発表されています。日本の自給率は肉類が56%、牛乳・乳製品が66%、鶏卵が96%です。とはいえ、その原料は殆ど海外に依存しているのが現状です。

フードチェーンの入り口ともいえる飼料産業が世界共通の仕組みを構築し食品安全を確保することがますます重要となっています。

(掲載日:2012年4月27日)

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