【食品安全】食品産業の課題(5):倉庫・物流サービスと食品安全

街を歩いて、こんな事が気になった事はありませんか。パーキングエリアで冷凍・冷蔵車がエンジンを停止して休憩している状況、冷蔵・冷凍宅配車や宅配デリカ・給食車が配達のために扉を開放したまま、無人状態で路上に駐車している等、日頃は何となく見過ごしている光景ですが食品安全や食品防御上は大切な問題です。

ISO 22000の序文には「食品安全ハザードの混入は、フードチェーンのあらゆる段階で起こりうるため、フードチェーン全体での適切な管理が不可欠である。したがって食品安全は、フードチェーンに関わるすべての関係者の一丸となった努力を通じて確保される」と記述されています。
製品の保存、物流プロセスのアウトソーシングが盛んになり、製品が工場から出荷された時点で責任が終わったと理解している食品製造事業者を見かけますが、「Farm to Table(あるいはFork)」の考えからすると、顧客の手許に届くまでの管理が必要です。 倉庫は単なる物置ではありません。
組織の資源を投入し付加価値をあげた最終製品を、環境による食品安全ハザードの侵入から防ぐ大切なプロセスの実現の場所です。また、物流プロセスはあらゆる食品安全ハザードから製品を守り、お客様に無事に届けるための大切なプロセスです。倉庫は大切に育て上げた娘さんの結婚式場の待合室であり、物流プロセスは昔流に言えば花嫁行列です。
当然のことながら、ISO 22002-1で要求されている埃、結露、煙、臭いから保護し、廃棄物や化学薬剤との分離し、有害生物の防除、不適合製品の識別・隔離を実施しなければなりません。

最近は自社工場内の倉庫部門を別会社とし、委託化している組織が多くなりましたが、例え自工場内であり、顔見知りの仲であっても、別会社にした時点で委託先は他組織です。組織としての製品の受け渡し及び保管に関する要求事項は明確にすべきです。 アウトソース先従業員への食品安全教育も大切です。
多くの倉庫物流業は食品専門でなくむしろ食品はマイナーな取り扱い商品であることを理解し、お願いすることが大切です。 食品製造事業者は自社製品が安全にお客様に届けるための要求事項を明確にして委託業者に要求し、双方が合意の記録を残すことが必要です。
この記録を基に要求事項に適合しているかをチェックすることにより監査が有効になります。
委託先への要求事項が明確でないため、「監査報告書」が、ただの「見学報告書」になっている実例をよく見かけます。 
食品物流は1976年頃から常温、88年頃からは冷蔵・冷凍の宅配便が普及するに従い、多くの食品会社は物流を外部に委ねる仕組みに変わっています。

日本の安全に関する環境が大きく変化している今日、食品の倉庫・物流プロセスは、製品の変質に関してのみでなく、テロや悪戯等の悪意の食品安全ハザード混入を防ぐ大切なプロセスであることの認識が必要です。

(掲載日:2012年5月25日)

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