【鉄道】IRIS(国際鉄道産業標準)とRAMS(2):鉄道関連規格の動きとRAMS規格の一覧

第1回目のコラムでは、「RAMSの特徴と概念」と題し、鉄道全体での評価手法であるRAMSの特徴とその概念について解説致しました。今回は、鉄道RAMS欧州規格やIRIS認証を含めた鉄道業界の動きと、RAMSの規格一覧をご紹介致します。

鉄道関係規格の動き

鉄道RAMS欧州規格(EN 50126)は、一般規格の概念である「品質と安全」を超えた鉄道関係の規格の概念である「品質、安全+インターオペラビリティ*」を推進することを目的としています。欧州規格(EN 50126)は、英国規格「BS EN 50126」を変更することなく制定されたもので、英国規格の地位を有することが規格の中で明記されています。その後、IEC国際規格(IEC 62278)となり、1991年に設立されたUNIFE(欧州鉄道産業連盟)が、RAMSや関連するLCC(Life Cycle Cost)が契約に適用されることを考慮し、メーカーとしてどのように対応するかガイドラインを1997年に発表しました。

* インターオペラビリティ:EUの鉄道政策と国境を横断した相互運用

UNIFE(欧州鉄道産業連盟 )の設立と鉄道産業国際規格(IRIS)

UNIFEは、欧州の鉄道業界に向けた供給企業の国際団体で、ベルギーのブリュッセルに拠点が置かれています。以前は、鉄道業界向け供給産業を代表する組織として、以下の組織がありました。

  • AICMR (Association Internationale des Constructeurs de Matériel Roulant)
  • AFEDEF (Association des Fabricants Européens d'Équipements Ferroviaires)
  • CELTE (Constructeurs Européens des Locomotives Thermiques et Électriques)

1991年にこれらの3団体は、UNIFEとして統合されました。

2006年、UNIFE内のワーキング・グループ(作業部会)が、ISO 9001:2000に基づきIRIS - 国際鉄道産業標準規格(International Railway Industry Standard)を制定し、2012年現在IRIS Rev02として運用されています。 このIRISは、規格の中で「IEC 62278 (EN 50126)、IEC 62279 (EN 50128)、IEC 62425 (EN 50129)」を参照することが求められており、設計開発のインプットとして含めることが要求されています。IRISでは、「顧客要求事項として、例えば、RAMS/LCC( Life Cycle Cost )に関するものがあり得る。」ことが述べられ、ライフサイクルコスト(LCC)を考慮することでビジネス目標の達成を目指すことも求めています。さらに、必須ではありませんが、さらに上を目指すために「製品寿命到達後の問題を設計インプットとして取り扱うことが望ましい。」と規格の中で述べ、RAMSを意識した組織の方向付けが示されています。

RAMS規格一覧

RAMS規格は、次の3つで構成され、一部は日本規格協会による邦訳もあります。

IEC 62278 (EN 50126)が、RAMS本体となっており、信頼性、アベイラビリティ、保全性、安全性(RAMS)の仕様と実証について規定されています。
IEC 62279 (EN 50128)は、通信、信号及び処理システム及びソフトについて規定したもので基本的要求事項は、IEC 62278 (EN 50126)の内容を踏まえています。
IEC 62425 (EN 50129)は、通信、信号及び処理システムの所定の要求事項に適合するように安全評価(セーフティケース)について文書に定めることを要求しています。この文書による立証にはPart1:システムの定義、Part2:品質管理レポート、Part3:安全管理レポート、Part4:技術安全レポート、Part5:関連するセーフティケース及びPart6:結論で構成することが要求されています。

  1. IEC 62278 (EN 50126)
    規格番号 IEC 62278 Ed. 1.0:2002 (b)
    標題 Railway applications - Specification and demonstration of reliability, availability, maintainability and safety (RAMS)
    標題仮訳 ・鉄道分野-信頼性,アベイラビリティ,保全性,安全性(RAMS)の仕様と実証

    規格番号 IEC/TR 62278-3 Ed. 1.0:2010 (en)
    標題 Railway applications - Specification and demonstration of reliability, availability, maintainability and safety (RAMS) - Part 3: Guide to the application of IEC 62278 for rolling stock RAM
    標題仮訳 鉄道分野-信頼性、アベイラビリティ、保全性及び安全性(RAMS)の仕様と実証-第3部:鉄道車両RAMのためのIEC 62278の適用ガイド

  2. IEC 62279 (EN 50128)
    規格番号 IEC 62279 Ed. 1.0:2002 (b)
    標題 Railway applications - Communications, signaling and processing systems - Software for railway control and protection systems  
    標題仮訳 ・鉄道分野-通信、信号及び処理システム-鉄道の制御、保護システム用ソフトウェア 

  3. IEC 62425 (EN 50129)
    規格番号 IEC 62425 Ed. 1.0:2007 (b) 
    標題 Railway applications - Communication, signaling and processing systems - Safety related electronic systems for signaling 
    標題仮訳 鉄道用途-通信、信号及び処理システム-信号用の安全関連電子システム

(掲載日:2012年5月22日)

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