【鉄道】IRIS(国際鉄道産業標準)とRAMS(3):RAMSの長所と課題、及び実際の活動と業務

RAMSは利点だけではなく課題もいくつか挙げられています。長所と問題点を把握することで効果的なシステム規格として運用することができます。本コラムでは、まずRAMSの長所と課題について解説し、続いてRAMSの実際の活動や業務について詳しく解説致します。

RAMSの長所と課題

長所

  1. 情報開示、説明責任への対応やドキュメント化の推進が可能になる。
  2. RAMSの手法が体系化されているため、新製品について信頼性、アベイラビリヒティ、保全性及び安全や経済性までも要求事項を満たすかどうかの予測が可能になる。
  3. 要求事項を満たさない場合はさかのぼって改善が可能になる。
  4. 安全性と経済性を関連付けることが可能になる。

課題

  1. RAMS適用対象が無限定で概念的であり、RAMS評価できる組織が限られている。
  2. 規格適合性に関連した説明範囲、詳細度が限定されていない。
  3. 安全性、信頼性分析手法が随意。
  4. 運用知識、認証機関が欧州中心に限定されている。
  5. 文書量の増加、結果的に管理コストが増加する。
  6. 技術ノウハウの流出の可能性が指摘される。
  7. システム規格のため製品 / サービスが必ずしも良くなるわけではない。

RAMS活動の実際

受注した組織、例えば部品メーカーや副契約者は、製品の仕様書でRAMS要求事項が規定された場合、この要求事項を満たすためにRAMSの評価手法を基にRAMS活動を展開することが求められます。詳細は、IEC 62278 (EN 50126)「附属書A(参考)RAMS仕様の概要」に記載されています。RAMSでは、信頼性の目標を定量的に決定し、この目標値を達成することが求められます。RAMS活動は、システム全体からユニット単体までそれぞれを製作する企業によって実施されます。主なRAMS活動実際の手順は、以下の各プロセスから構成されています。

  1. 目標の設定
  2. 目標の割り付け
  3. 故障データの収集と整理
  4. RAMS解析
  5. 評価
  6. 改善
  7. 監査

続いて、目標の設定における信頼性目標の事例を紹介します。

目標値は、発注者から製品を供給する立場にある主契約者、副契約者(装置メーカー、部品メーカー、機器メーカー等)へ設定されますが、具体的な数値目標が示されない場合もあります。このケースでは、発注者と協議をしながら目標値の決定が行われています。例えば、要求される性能を満たすために「信頼性目標」を設定する場合、鉄道車両では「平均故障間隔(MTBF)」が目標値となります。

システム故障モードと平均故障間隔(MTBF)

RAMS活動の特徴の一つに「監査」を求めていることがあります。鉄道当局と検討中のシステムの鉄道関連産業は、システムに合わせられた本規格の要求事項の適用に取り組む監査計画について合意し、以下の手順でそれを実施することが、述べられています。

システム実現プロセスで実行されるRAMSの工学的設計と管理

RAMSの業務 

鉄道分野の状況に適したライフサイクルが下図に示されています。RAMSは、システムや製品を14段階に分けて何を行うべきか示されています。この図はRAMS関連業務を一般的なプロジェクトの要素として示しています。

鉄道分野の状況に適したライフサイクル

IEC 62278 (EN 50126)では、14段階の各段階で何をするか、総合業務、RAM業務及び安全性業務に分類され規定されています。例えば、「構想」では総合業務として「鉄道プロジェクトの範囲と目的の確定」「鉄道プロジェクトの構想の明確化」「財務分析と予備調査の開始」「管理者の確定」が要求されていますが、具体的な手段は組織に委ねられています。

RAMS作業の役割分担 

RAMS規格は、欧州における車両システムを前提に作られており、鉄道事業者や部品メーカーが、どの段階を担うかについて特に規定があるわけではありません。RAMSの業務で示された14段階は、発注者(鉄道事業者)や主契約者及び副契約者のそれぞれが役割を持ちます。これら、三者がすべてのRAMS活動を行うわけではありません。一般的に三者の役割は、以下のようになります。

第1段階-発注者
第2段階~4段階-発注者またはコンサルタント契約者
第5~8段階-主契約者及び副契約者
第9段階-発注者、主契約者の役割分担による
第10段階-発注者

発注者、主契約者及び副契約者は、どの段階を受け持つにせよ担当する段階のインプット・アウトプットに関して明確にする必要があります。
RAMS規格では、第10段階のシステムの受け入れに関して、以下のように特に注意を払うことが求められています。

本規格で定義される要求事項は一般的なものであり、あらゆる種類の鉄道システムに適用可能である。
本規格の要求事項をどのように検討中のシステムに適用するか、鉄道当局が明確化しなくてはならない。
この評価は特定のシステムに対する要求事項の適用性に基づくものでなくてはならない。
第9段階のシステム妥当性確認と第10段階のシステム受入れで行われる一連の 課業の評価中はとくに配慮が求められる。


(掲載日:2012年6月18日)

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