【食品安全】食品産業の課題(7):第二者監査のあり方

ISO審査訪問先でアウトソース先の管理に関し、監査報告書を見せて戴く機会があります。しかし、その報告書の内容が工場見学報告書であり、監査した内容及び評価が監査員によって違っているケースを多く見受けます。
アウトソース先の監査は、自社の品質管理、品質保証に大切なプロセスで、且つ、多くの時間と費用を要します。第二者監査をより効果的にするために、食品製造業として何をすべきか考えてみました。 監査には以下の様な形態がありアウトソース先の監査は第二者監査に相当します。(JIS Q 9000:2.8.2)

第一者監査:内部目的のために、その組織自体または代理人によって行われ、
その組織の適合性を自己宣言するための基礎とすることが出来る。
第二者監査:その組織の顧客または、顧客の代理人によって行われる。
第三者監査:外部の独立した組織によって行われる。
この様な組織は、 通常認定されており、
JIS Q 9001などの要求事項への適合に対する認証または登録を行う。

JIS Q 9000では監査は「監査基準が満たされている程度を判定にするために、監査証拠を収集し、それを客観的に評価するための体系的で、独立し、文書化されたプロセス」と定義しています。ここでいう監査基準とは「一連の方針、手順(3.4.5:活動又はプロセスを実行するために規定された方法)、要求事項(3.1.2:明示されている、通常暗黙の内に了解されているもしくは義務として要求されている、ニーズ又は期待)」であり、アウトソーシング等の監査先には、この監査基準を明示した上で監査を実行することにより、効果的な監査が実施できます。これらの要求事項の実施のための費用はアウトソーシング先のコストに含まれるものであり、可能であれば契約時に監査先との契約書に取り入れるか付属書のようなかたちで合意の記録が維持されていることが望まれます。ところが、契約書をレビューすると内容は単価や罰則規定が主で、残念ながらこれらの食品の品質や安全に関する要求事項が含まれていないのが実態です。

そこで、アウトソーシング先等の第2者監査を効果的に実施するためには

  1. 監査の仕組みを構築し、監査員の教育を充実する。
  2. 自組織の方針及び自組織のマネジメントシステムを正しく伝える。
  3. アウトソーシング先への要求事項を明確にし、両者の合意の記録を作成する。
    (原料規格、製品規格、工程管理表、保存条件、物流条件及びGMPまたはPRP)
  4. 監査時ごとに要求事項基づいた監査チェックリストを作成し、重点課題を明確に伝える。
  5. 観察事項の評価基準を明示し、是正処置を要求した記録及び改善提案の記録を残す。
    この場合要求事項に対する評価基準は組織としての整合性を保つ必要がある。
  6. とられた是正処置の有効性及びシステムの改善を確認し、終了とする。

といった事が必要です。

JIS Q 9000の0.2項には品質マネジメントの原則の一つとして、“供給者との互恵関係”があげられています。第二者監査を単に自組織の要求事項の監査に留めるのではなく、アウトソーシング先との互恵関係(互いに特別のめぐみ、便益をうけること:講談社日本語大辞典)を意識した第2者監査を充実させ、相互の継続的改善につなげて頂ければと思います。


(掲載日:2012年7月24日)

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