【鉄道】IRIS(国際鉄道産業標準)とRAMS(5):RAMS検証と妥当性確認

本コラムでは、RAMS検証及び妥当性確認のプロセスをご紹介致します。
また、「IRIS(国際鉄道産業標準)とRAMS 」シリーズの締めくくりとして、RAMSをマネジメントシステムの一部として位置づけ、有効利用する方法についてご提案させて頂きます。

RAMS活動の実際(検証及び妥当性確認)

IEC 62278 (EN 50126)では、検証業務が、ライフサイクルのすべての段階に含まれ、検証及び妥当性確認(V&V:Vモデル図)は、相互的なシステム保証に統合されることが明記されています。このV モデル図では掲載されていませんが、規格では、「第12段階 性能監視」と「第13段階 修正と改良」も含まれています。各段階では、全て目的、インプット、要求事項、成果物、検証の内容が明記され、体系的な活動が要求されています。

鉄道RAMS Vモデル図

従来の品質システムでは、製品出荷時の品質保証を取り扱いますが、RAMSは出荷後の試用期間中に変化する製品の品質までを取り扱うことになります。一般的な製造業では、製造、納入または設置までが顧客への保証範囲となります。このVモデル図では、製品出荷後についても要求事項として規定されている点が従来の規格と違うところです。Vモデル図で「11.運用と保全」は、納入後の運行段階のことです。運用後のスペア部品や保守修理も含めた管理が求められます。日本では全ライフサイクルで責任を問われることが多く、契約時に明確にされていないことが多いのが実状です。

今後の課題

RAMS活動では、システムとして考えることが前提にあるように思えます。システムの中でも、マネジメントシステムの一つとして位置づけることが求められていると考えられます。規格の中では、概念的な記述も多く、ISO 9000シリーズのようなマネジメントシステム規格と同じ性格を持つことがわかります。IEC 62278 (EN 50126)では、「本規格の要求事項は、検討中のシステムに適したISO 9001を遵守した品質マネジメントシステム(QMS)の裏付けがあるビジネスプロセス内で実行されなくてはならない。」と言う記述も見られます。トップや経営者の関与が欠かせないシステム規格と言えるでしょう。

つまり、一部門の活動にとどまることなく、「設定したRAMS目標及び各指標は適切であるか。」、「目標に関して的確な進捗確認と報告がされているか。」、「このままの状況で(目標などの変更なしに)残りの期間を遂行しても問題がないか。」等に関して、マネジメントによるレビューが必要でしょう。トップマネジメントの役割は、収益性などの他の事業にかかわる要求事項だけでなく、特にISO 9001取得企業であれば、品質に加えRAMSに関する方針及び目標を設定し、これらの決定を効果的に伝達し、組織全体が共有できる目的意識を確立する必要があります。

最後に

ヨーロッパにおける鉄道関係の技術基準や規格の制定・改定は、従来の鉄道事業者主導から鉄道車両メーカー主導へとシフトしていった経緯があります。鉄道関連の国際的な規格は、ヨーロッパの考え方が必然的に取り入れられるようになり、RAMSについても欧州規格であるEN 50126がIEC 62278として制定されました。東アジア・中近東や新興市場においては、インフラの設置はもとより、車両の提供、鉄道事業の運営・保守サービスといった総合的なシステムを要求するケースも多く、これらに強みを持つビッグスリーが優位に立つ傾向があります。そのため、総合力に劣る日本の車両メーカーは苦戦を強いられています。そういった中、日本の鉄道事業者や鉄道車両メーカーもRAMS管理の手法の研究や管理手法を徐々に導入している状況が見られます。

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(掲載日:2012年8月23日)

    

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