【環境】環境マネジメントシステム(ISO 14001) 改定(1):改定に関わる組織と、4つの改正ポイント

ISO 14001の改定作業が、ISOのTC 207/SC 1において2012年2月から始まりました。発行は2015年に予定しており、未だ作業は初期段階ですが、作業開始の前に、改定の方向性を決める2つの重要な検討が行われてきました。
その一つが、マネジメントシステム規格(MSS)に関する合同技術調整グループ(Joint Technical Coordination Group on MSS:JTCG)による、マネジメントシステム規格の共通の構造、テキスト及び用語・定義の開発で、もう一つが、Future Challenges for EMS Study Groupの次期改正推奨事項の提案です。

今回は、最初の合同技術調整グループの活動を、次回にFuture Challenges for EMS Study Groupの提案及びTC 207/SC 1における改定作業の状況をご説明します。

合同技術調整グループ(JTCG)の活動の目的

合同技術調整グループは2006年に設置されました。その目的はマネジメントシステム規格の構造と核心となる要求事項を標準化し、複数の規格を組織の一つのマネジメントシステムに統合することを促進することです。この背景には、分野別に色々なマネジメントシステム規格があるものの、個別の規格によって方法論やモデル、用語の定義が異なる事があり、それを利用する組織に混乱を招いたり、複数の規格導入時に障害を生じているという問題認識がありました。

合同技術調整グループ(JTCG)の最終的アウトプット

ISO DGuide 83に、共通の上位構造・テキスト、共通の用語・定義がまとめられました。今後改定されるマネジメントシステム規格は原則として、2012年にISO/IEC専門業務用指針に附属書SLとして盛り込まれた、このGuide 83に従わなければなりません。以下、従来のISO 14001と大きくコンセプトが変化した部分についてポイントを述べます。

  1. 組織の状況
    「マネジメントシステムが意図した成果の達成に影響する外部・内部の課題を決定」「利害関係者のニーズ・期待を理解」したうえで、マネジメントシステムの適用範囲を決定し、確立する事を求めています。 マネジメントシステムの確立に戦略的なアプローチが求められているように思われます。
  2. リーダーシップ
    トップマネジメントに、「環境方針・目的と組織の戦略的な方向性との両立」や「組織の事業プロセスへのマネジメントシステム要求事項の統合」等を求めています。 マネジメントシステムが独立したものではなく、経営と一体となった戦略的なものにする、そのためにトップの関与をより強く求めると理解されます。
  3. リスクと機会の特定
    上記の、1) 組織の状況 で特定した課題や要求事項を考慮して、リスクと機会を決定する事を求めています。 ISO 14001の環境側面の特定に該当する箇条です。共通のマネジメントシステム規格を検討する中で、ISO 31000(リスクマネジメント)の考えが反映されています。
  4. 予防処置の発展的解消
    ISO 14001にあった「予防処置」がありません。議論の中で、マネジメントシステムがそもそも予防のツールであること、また組織の状況やリスクと機会の決定によって、予防処置が戦略的に取り込まれるとの結論となりました。

以上、合同技術調整グループの共通の上位構造・テキストは、従来のマネジメントシステム規格に戦略性や事業プロセスとの統合など、経営と一体となったマネジメントを求める内容となっています。

今後のISO 14001の改定は、この共通の上位構造・テキスト、用語と定義に従う事になりますが、個別のマネジメントシステム規格でテキストや用語・定義を追加しなければならない事が発生し、これらの追加は認められています。

(掲載日:2012年8月31日)
   

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