【環境】環境マネジメントシステム(ISO 14001) 改定(2):改定推奨事項の提案と改定作業の状況

今回はFuture Challenges for EMS Study Groupの次期改正推奨事項の提案とTC 207/SC 1における改定作業の状況をご説明します。

Future Challenges for EMS Study Groupは、「ステークホルダーのニーズを含め、環境マネジメントシステム(EMS)の将来の課題を調査し、EMSの新しいアプローチと方法論を検討する」事を目的として2008年にTC 207/SC 1の中に設置され、2010年に11テーマについて24の推奨事項を提案しました。

2011年6月、ISO 207/SC 1においてISO 14001の改正作業の開始が決議されました。
この中で、前回のコラムでご紹介致しました、合同技術調整グループ(Joint Technical Coordination Group on MSS:JTCG)の共通の上位構造、テキスト、用語と定義の採用と、今回のFuture Challenges for EMS Study Group の推奨事項の考慮も決議されています。また、EMSの基本原則と要求事項の維持・改善も決議されました。

今後は、この11テーマに関連したISO 14001の要求事項の改定が検討されます。以下、主要なポイントについてご紹介します。

  1. サステナビリティーと社会的責任
    「ISO 26000の6.5に述べられた環境の原則を扱う」、「ISO 26000とISO 14001の言語を整合させる」や「持続的発展への貢献の視点をより明瞭にする」等が推奨されています。ISO 26000を利用する組織が、マネジメントシステムとしてISO 14001を利用する事を考えた推奨事項です。
  2. 環境パフォーマンス
    「環境パフォーマンスの改善のための要求事項を明瞭にする」や「パフォーマンス評価を強化する(例えば、指標の使用)」が推奨されています。現状のISO 14001も環境パフォーマンスには触れていますが、ISO 50001のように環境パフォーマンスの改善をより明確にする推奨と考えられます。
  3. 全体的(戦略的)ビジネスマネジメント
    「環境マネジメントの戦略的な検討」や「環境マネジメントと組織のコアビジネスとの戦略的関係」等が推奨されています。合同技術調整グループの共通テキストと同じ考えです。
  4. 製品とサービスの(バリュー/サプライチェーンにおける)環境影響
    「ライフサイクル思考とバリュー/サプライチェーンの見方を明瞭に扱う」や「関連する要求事項とガイダンスを明瞭に含める」等が推奨されています。現行のISO 14001が、バリュー/サプライチェーンを考えていない訳ではありませんが、例えばエコデザインなどの明瞭化を求めています。また、ISO 26000との繋がりも意識されています。
  5. ステークホルダーエンゲージメント 「合同技術調整グループのテキストに基づき、環境問題に関するステークホルダーの特定、助言、コミュニケーションのよりシステマチックなアプローチの導入」を推奨しています。ISO 26000との繋がりも意識されています。
  6. 外部コミュニケーション(製品情報を含む)
    「外部コミュニケーション戦略の確立に関する要求事項を扱う」よう推奨しています。この中には「コミュニケーション目的、関連する利害団体の特定、コミュニケーション時期と内容の記述を含む」とされています。現行のISO 14001より、戦略性を求めています。

2011年6月のISO 207/SC 1において、ISO 14001の改正作業の開始が決議されました。この中で、前回ご紹介の合同技術調整グループの共通の上位構造、テキスト、用語と定義の採用と、今回のFuture Challenges for EMS Study Group の推奨事項の考慮も決議されています。また、EMSの基本原則と要求事項の維持・改善も決議されました。

実際の改定検討作業は、2012年の2月に開始されました。合同技術調整グループのマネジメントシステム規格共通要求事項と、ISO 14001:2004の箇条毎の対応関係を検討し、共通事項として新規に導入された細分箇条(4.1、4.2、6.1)についてFuture Challenges for EMS Study Group の推奨事項を反映した固有テキスト草案を作成しました。また、EMSとして追加する必要のある細分箇条や用語を検討した段階です。今後のスケジュールは別表(※ISO 14001次期改正推奨事項のテーマと改正作業の進捗.pdf)の通りです。改定の方向性は明確になっていますが、具体化は検討が始まったばかりで、改定ISO 14001に対して準備ができる状況ではありません。ただし、合同技術調整グループのマネジメントシステム規格共通要求事項も、Future Challenges for EMS Study Group の推奨事項も、戦略的で事業プロセスと整合/統合したEMSを求めておりますので、この点については、今から心がけておくとよいでしょう。

LRQAは「ビジネス アシュアランス」の考えに沿って、ビジネス課題重点審査(FABIK)とリスクに基づくアプローチを審査の中で取り入れてきました。これらはISO 14001の改定の方向と合致していると考えています。

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(掲載日:2012年9月28日)
   

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