【食品安全】座談会 - 食品安全マネジメントシステムが、中小企業にも、より身近に。

LRQA コール・グローンフェルト/アンディー・デュー/坂下琢治/星実


中小企業が段階的に、FSSC 22000などを取得できる認証プログラムがスタートします。

食品安全特別座談会の様子食品安全に対する消費者の目が年々厳しさを増す中、食品安全マネジメントシステムもより拡がりを見せています。今回は、FSSC 22000の開発・運営機関のFFSCの会長を務め、LRQAグローバル・フード・プロダクトマネジャーでもあるコール・グローンフェルトをはじめ、食品安全の審査員が横浜に集結。特別座談会を開催しました。  




まず、現在、世界的に食品安全がどのような状況になっているか教えてください。

コール
世界の食品安全は、今日ほどレベルが高い状況はなかったのではないでしょうか。しかしながら、依然として世界中で数多くの食中毒や菌が問題となっており、製造業者、小売業者、認証機関、政府などが一丸となり、この状況を改善していかなければならないと考えています。

アンディー
中国では、粉ミルクにメラミンが混入した事件の後、様々な問題が顕在化しています。中国政府は今後3年間で食品安全レベルを大きく改善することを約束しており、食品安全マネジメントシステムの取り組みが少しずつ進められてきているという状況です。

坂下
日本では、食品安全マネジメントシステムが拡がりを見せています。FSSC 22000という基準ができたことで、何をどこまでやればよいのかが理解でき、確実に取り組みが進んできていますね。


食品安全に関する事故や、偽装問題に関する消費者の関心が高まる中で、日本の食品安全は世界の中でも高い水準にあると自信を持ってよいと思います。しかし、これまでの日本の安全の仕組は、国内の原料を用いて国内で製造し、日本のマーケットに届けるためのものでした。現在は、国外の原料を使い、国外で製造し、日本を含む世界のマーケットに届けることを考えなければなりません。FSSC 22000の登場は、世界の中で日本がどう安全を守っていくべきかを考える、よい機会になったと考えています。

食品安全マネジメントシステムFSSC 22000の現在の普及状況について教えてください。

コール
FSSC 22000は、2年前に登場して以来、認証取得はすでに3,000件以上。アジア、北南米、ヨーロッパでバランスよく認証取得が進み、世界中で使われる規格となりました。コカ・コーラ、クラフト、ネスレ、イオン、ウォルマートなど世界的な食品メーカー、流通企業がメンバーのGFSI(Global Food Safety Initiative)がこの規格を承認して、牽引役となっていることが大きいでしょう。さらに、FSSC 22000の適用範囲は、食品、原材料、包装材料に関連する企業だけではなく、飼料、運輸、倉庫、流通にまで拡張しています。サプライチェーン全体を網羅する規格として、今後さらに拡がりを見せるでしょう。

坂下
日本でも、当初は大手飲料メーカーとその関連企業がFSSC 22000に取り組みましたが、現在は、様々な業種で大手企業から中小企業にまで拡がっています。LRQA ジャパンの審査件数も増加しています。

アンディー
中国では食品監督官庁が、中国発スキームをGFSI承認スキームになるよう申請をしていますが、承認状況はまだ公開されていません。しかし、FSSC 22000のトレーニングコースなども行われており、クラフトなどの大手メーカーが中国の拠点とサプライヤーにFSSC 22000に取り組むことを要求するなど、確実にその認知拡大が進んでいます。

GFSIが中小企業向けの「グローバルマーケットプログラム」を開発しましたが、その経緯について教えてください。

コール
FSSC 22000など、GFSIが承認する食品安全規格の認証を取得するレベルに達していない企業は、世界中で数多くあります。しかし、大手メーカーや大手流通企業は、サプライヤーにもっと取り組みを進めてほしいと考えており、共同で開発したのが中小企業向けの「グローバルマーケットプログラム」です。

これは具体的にどのようなプログラムなのでしょうか。

コール
中小企業が段階的に、FSSC 22000などのGFSIが承認する食品安全規格に取り組めるプログラムです。まず、このプログラムの規格文書を、WEBサイトから無料でダウンロードして、現在企業がどのような状況にあるか、自社で自己分析します。そして、初級レベルか中級レベルかを選び、最初の審査を受けます。基礎的な食品安全が要求される初級レベルをクリアすると、中級レベルの審査へ進み、さらにそれをクリアすることで、FSSC 22000などGFSIが承認する規格へと進むのです。食品安全の取り組みがまだまだという企業でも、2度の予備審査を経てスムーズに、FSSC 22000などGFSIの承認レベルに達することができます。


最近はメーカーが経営的理由で、中小規模の企業にアウトソーシングすることが多く見受けられます。また伝統的食品産業には中小企業が多いのが特徴です。中小企業では、微生物などの専門家がいることは少なく、また、FSSC、ISOというと敷居が高いと感じるのではないでしょうか。規模はそれほど大きくなくても重要な役割を果たしている企業に、このプログラムは最適だと思います。

コール
食品サプライチェーンにとって食品安全は最重要課題です。食品安全マネジメントシステムに取り組むと、審査コストがかかるとお考えの方もいるかもしれませんが、これに取り組むことで製造上の無駄の削減、クレームとその対応工数の削減など、逆にコスト削減を実現できます。そして何よりも食品安全のコントロールを継続的に改善できますから、ぜひ取り組んでいただきたいと考えています。

坂下
このプログラムの導入を成功させるには、最初のステップとして、ISO/TS 22002-1など衛生管理の前提条件プログラムに取り組み、次のステップで、HACCPを実行する。さらに、3つ目のステップでHACCPとマネジメントシステムを統合して運用していく。グローバルマーケットプログラムでは、この3つのステップにスムーズかつ段階的に取り組んでいくことができます。難しいと考えずに第一歩を踏み出していただきたいと思います。


LRQA ジャパンの審査員は実務経験が豊富であり、経験を活かした審査を通して、食品安全に関するシステムの継続的な改善のお手伝いをすることができると確信しています。ぜひ、ご相談いただきたいと考えております。

本日はありがとうございました。


(掲載日:2012年12月10日)

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