【品質/環境】ISO 9001/ISO 14001規格改定:ISO 9001、ISO 14001の改定を、リスク対応の強化や環境ビジネス推進の契機に。

テクニカル オペレーション マネジャー 米岡 優子
  LRQA ジャパン
  テクニカル オペレーション マネジャー
  米岡 優子 


2003年から外資系ISO審査機関で、米国、中国、韓国など世界各国のマネジャーを歴任、さらに日本では取締役副社長として活躍してきた。また、数々の公的機関の委員を務めた後、2013年にLRQAジャパンのテクニカル オペレーション マネジャーに就任した。

2015年に規格改定が予定され、改めて注目されているISO 9001、ISO 14001。前号では、規格要求事項の変更点について解説しましたが、今回は、より有意義な移行を実現していただくために、規格改定の意義、今後の移行への対応について解説いたします。 

2015年9月に同時発行が見込まれるISO 9001、ISO 14001 

ISO 9001、ISO 14001をはじめ、情報セキュリティや食品安全など様々なISO規格が生まれる中、各規格の章構成や用語、定義はバラバラで、理解しづらく使いにくいものとなっていました。そこで、各規格の章構成などを統一するために、規格作成のためのガイドラインが発行され、その附属書SLをベースにして、規格改定が進められています。

現在は、ISO 9001、ISO 14001改定の議論が進められており、ISO 9001は今年5月に国際規格案(DIS: Draft International Standard)が発行されています。このまま順調にいけば予定どおり2015年9月に発行の見込みとなっています。なお、ISO9001は、LRQA英国の前テクニカルディレクターが、今回の改定のコミッティのコンビナーを務めています。

また、ISO 14001については、委員会原案(CD: Committee Draft)で様々な意見が出されCD2まで展開されており、国際規格案はまもなく発行される予定とのことです。ISO 9001よりも先行して正式発行の予定でしたが、作業が遅延ぎみであることから、英国本社の関係者に聞くところではISO 9001とISO 14001両規格の利用者の便宜も考慮し、2015年9月に同日発行を望む声も出ているような状況とのことです。

利害関係者の特定やリスク対応が重要となるISO 9001改定 

今回のISO 9001改定では、ISOマネジメントシステム規格間の整合性を確保するために、附属書SLの章構成、共通用語、定義、共通文書が、共通要素として採用されます。また、これまで規格の理解と運用上の様々な解釈集が出されていましたが、今回はそれらを取り込み使いやすく、分かりやすくなり、サービス業などの企業でも適用しやすい規格にしようという狙いがあります。また、改定に先立って行われたユーザーサーベイの結果を改定のインプットとすると決められております。

それ以外、2008年版から、追加要求を入れないということになっています。とはいえ、共通要素ではこれまでISO 9001にはなかった「利害関係者の特定」「リスクに基づく考え方」を導入しています。この2点は、場合によっては大きなインパクトとなる可能性があります。

まず1点目の「利害関係者の特定」ですが、これまでは顧客の要求を満たすことが求められていましたが、利害関係者となると、投資家、従業員、地域社会などCSRのような様々な視点からの要求を考えなければいけません。特に大手企業の場合、品質の定義や利害関係者の特定や要求内容も複雑で、それを方針、目標に落とし込むプロセスの整理・特定は案外手間がかかるかもしれません。

2点目の「リスクに基づく考え方」ですが、いわゆるリスクマネジメントのレベルまでは求められていませんし、これまでの「品質の要求を満たすこと」と、改定後の「満たせなくなるリスクを検討すること」は表裏一体です。とはいえ、リスク対応を明確にすることは必ずしも容易ではないでしょう。製造業のように比較的リスクに意識して取り組み、その対応を可視化してロジックで組み立ててきた企業は問題ないかもしれませんが、それを感覚的、習慣的に行ってきた企業では、それなりの準備が必要になるでしょう。

次期ISO 9001への移行はそれほど難しくないという声もありますが、これまでの取り組み次第で、ある程度の準備を見込んでおいた方がよいといえます。

要求への対応

より幅広い視点での環境リスク対応が必要となるISO 14001 

一方、ISO 14001については、環境側面のリスクの考え方が大きく変わっていこうとしています。これまでは、“空気を汚す、土壌を汚す”といった「環境に負の影響を与える排出物」をコントロールすることが目的でした。しかし、組織の状況の理解において、今後は環境の状況が、組織がその目標を達成する能力に与える影響、つまり、「外部環境の変化から受ける影響」も考慮すること、としています。

環境に対して「与える影響」「受ける影響」の双方向で考え、バリューチェーンを包括的に見て全体を捉えて考えるという要求は、今後、企業の環境活動のパラダイムシフトにつながる可能性を秘めています。しかし、それが事業プロセスへの統合というもうひとつの大きな改定のポイントへの取り組みを自然と後押しするのではないかと思います。昨今、ISO 14001を返上する企業も見受けられますが、今回の改定は環境への取り組みを見直し、環境というキーワードでビジネスを推進していくためのよいきっかけになるはずだと考えています。

リスク管理が求められる

統合ありきで考えるのではなく、組織に合わせた運用形態を  

ISO 9001もISO 14001も今回の改定で、共通要素が適用され、章立て、文書などが共有され、事業プロセスにそれぞれの要求事項を一体化させた仕組みとしていくことが求められています。近年、統合マネジメントシステムとして運用されている組織は増加傾向で、今回の改定を契機にISO 9001とISO 14001を一本化して統合マネジメントシステムとして運用していこう、という声が強まっているようです。 

しかし、統合しやすいか、いなか、の議論については二つの側面から考えなければなりません。一つは規格を解釈して組織に適用させる段階です。この段階では、共通要素が採用されたことで、複数の規格を解釈しやすく、統合して構築、運用する利用者には利便性があがったといえます。しかし一方の組織の課題、活動、部門構造を含めた企業運営の側面から考えると、単にテキストが共通要素で理解しやすくなっただけで、統合しやすくなったとはいえません。例えば、製造業の場合、製造過程で品質と環境リスクなどを同時に考える必要がありましたから、もともと製品設計や製品実現プロセスに両方の側面が組み込まれています。このようなケースで、ISO 9001は製造部門、ISO 14001は総務部門と分けて運用すると、非効率であったり、やりづらいケースもあったでしょう。こうした場合には、整合性、合理性を高めるために製造部門で統合・管理した方が効果的・効率的な場合も多々あると思います。特に中小の組織では、統合した方がうまく運営できるケースが多いかもしれません。 

環境にかかわる活動が事業上の重要テーマという企業にとっては、統合してしまわずに、環境の専門チームでISO 14001に徹底して取り組んだ方が、その目的を達成しやすいのではないでしょうか。また、大規模な組織でISO 9001とISO 14001を一つの部門に集中させてしまうことは、組織運営上の機能性が上がらないことも多いとも考えられます。今回の改定は規格全体の枠組みが共通化されただけですから、組織が統合に馴染む構造か、品質・環境双方に対応できる人材がいるか、自社の経営課題などの点を踏まえ、統合する/しないを判断する必要があるでしょう。 

統合して運用

事業プロセスのリスクをベースに審査してきたLRQAならスムーズな審査に  

LRQA ジャパンでは、ビジネス アシュアランスとして事業プロセスのリスクに着目して審査を行ってきました。今回の規格改定で、事業プロセスと要求事項の一体化が求められていますが、LRQAジャパンはこれまで通りの審査アプローチとなりますので、その点においてはスムーズに対応いただけると思います。  

また、ISO 9001改定のコンビナーをLRQA英国の前テクニカルディレクターが務めていますが、おそらくLRQAが採ってきた審査でのアプローチの方針の原点は改定作業での判断のベースに根底で通じているのではないかと思います。また、改定について、そこで取り交わされた議論などもベースにより正確にお伝えすることができるのではないかと思っています。また、移行期間は3年ありますが、移行の準備が不安というお客様には、ギャップ分析で事前に貴社の改定への対応状況を判断することもできます。その他、今回の改定を機に統合を検討しているなど、規格改定にまつわる質問、ご懸念などお気軽にご相談ください。スムーズかつ付加価値のある移行へのサポートをさせていただきます。  

これまでの取り組み状況によっては、様々な準備が必要ともいえる今回の規格改定。しかし、リスクに対してよりロジカルな体制にする、より大きな視点から環境リスクに備えるビジネス体制にする、よいきっかけになると思います。ぜひ、3年間の移行期間をじっくり見据え、ビジネス強化につながるマネジメントシステムの最適化を進めていただきたいと考えています。 

コラム:ISO規格最新動向:OHSAS18001が2017年にISO化  

製造業を中心として認証取得が進められてきたOHSAS 18001(労働安全衛生マネジメントシステム規格)について、現在ISO 45001規格化の審議が進められています。これまでは安全面やメンタル面での取り組みが中心となっていましたが、ISO規格化で適用範囲が広がり労働全体のコンプライアンスを取り入れようという動きが出ています。これにより、製造業はもちろん、運輸業、サービス業、IT企業などに幅広く広がっていく可能性もあるでしょう。順調にいくと2017年にISO規格化する見込みとなっています。 

また、ISO 27001(情報セキュリティマネジメントシステム)はすでにISO 9001、ISO 14001に先駆け、2013年10月に附属書SLを適用した改定版が発行。ISO 22000(食品安全マネジメントシステム)などのその他規格も順次、改定していく見込みとなっています。 

コラム:組織運営のベースにISO 9001、製品実現にはセクター規格を  

ISO 9001はより事業プロセスと一体化したより広範な取り組みが求められる規格となっています。これはビジネス全体を見渡す組織運営のためのツールとしての意味合いが強まったといえます。一方で、適合製品を生み出す製品実現プロセスには、ISO/TS 16949(自動車産業)、IRIS(鉄道産業)、ISO 22000(食品安全)などのセクター規格が近年注目され、今後さらに広がると考えられています。 

今後、組織運営の基礎体力をつくるにはISO 9001、不良品解析など適合性の高い製品実現にはセクター規格、といった両輪を回し組織のビジネスを強化していくことが、スタンダードとなっていく傾向はますます強まるでしょう。 

ISO 9001とセクター規格


掲載日:2014年7月1日

ISO 9001 規格改定 無料セミナー  

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