【食品安全】お客様は「神様」:「信念に基づく消費」が、グローバルな食品サプライチェーンの持続可能性を牽引する

Vel Pillay LRQA Americaの食品 安全プログラム マネジャー
  Vel Pillay
  LRQA Americaの食品安全
  プログラム マネジャー




世界の食品産業は、21世紀に入ってパラダイムシフトを経験しました。小売業者と製造業者による世界食品安全イニシアチブ(GFSI:Global Food Safety Initiative)は、諸規格の調和に加えて、国際的な第三者による評価および認証の信頼性向上を目指す方向へと舵を切りました。先行きは長いものの、食品サプライチェーンに携わるあらゆる組織が、透明性が高く、一貫性があり、比較・測定可能なシステムとプロセスによる恩恵を受けています。食品分野ではいま、持続可能性と企業責任を始めとした、基幹業務とは別の戦略分野に対応するため、規格・認証主導型のアプローチを採用する組織が増えています。

食品企業の戦略目標の広がりは、顧客やその他主要な利害関係者の大部分から好意的に迎えられています。ブランド評価の点で、最高経営責任者にも並ぶ力を消費者が持つようになった時代となり、企業にはオンラインでリアルタイムの情報が集まるようになりました。消費者が企業に対し、「立派な公約」に加えて「確実な実践」をもって良き企業市民たるよう求める、「信念に基づく消費」に、いま注目が集まっています。

「大多数」ではなく「すべて」 

デザイン人類学者Ujwal Arkalgud氏は、オンラインチャンネルwww.canada.comの最近のインタビューで、従来型のマーケティングメッセージというメガネを通して物事を見る情報通の消費者への対極として、企業のカーテンに隠れた内側を見ようとする、信念に基づく消費について語っています。Arkalgud氏によれば、「誰もが、自分が信じるものを信じている企業と付き合うことを望んでいます。自らが表現するものに対して誠実であるブランドこそが、消費者と真のつながりを持つことができ、これによって競争優位に立つことになります」。消費者はいまや、食の安全を提供することに加え、社会的責任に忠実たることも求めています。

メディアで取り沙汰される話題とは裏腹に、ほとんどの企業は社会的責任を果たし、安全な食品を消費者に提供するべく努力しています。ですが、人の健康がかかっている時に、すべての企業に対して同じことを求めていけない理由があるでしょうか?

社会的責任と食の安全をリンクさせる 

信頼に基づく消費においては、社会的責任と食の安全の一貫性とリンクが求められることから、物事を正しく実行できることを証明している組織であれば、食の安全に関する経験を活かして、安全かつ倫理に適った製品を消費者に提供することが可能となります。では、いったいどういう仕組みでそうなるのでしょう?


すばらしい事例と、LRQA自らが世界の食品分野で培ってきた貴重な経験を鑑みれば、成功をもたらすレシピに必要な材料は見えてきます。改善への強い欲求、食の安全という文化を生み出し共有するための教育訓練、相互協力、「必要な人だけ知っていればいい」という態度をなくすこと、包括的なシステムとプロセスベースアプローチにより大局を把握すること、科学的事業に依拠することーこれらが、揃えておくべき材料です。

どこかで聞き覚えはありませんか?これらはマネジメントシステム規格の基本原則で、何一つ目新しいものではありません。W. Edwards Deming氏はこの考え方を、約60年前に取り入れています。彼の哲学は、「目先の利益にとらわれることなく、プロセスとシステムの継続的改善のために管理を行い、従業員を責めるのではなくそこに至ったプロセスに目を向ける」というシンプルなものでした。

ISOでは、Deming氏が世に広めた計画・実行・確認・改善(PDCA)のサイクルを採用しました。彼が提示した原則が、国際食品安全マネジメントシステム規格ISO 22000の土台となっています。2004年にこの規格が発行されたことは食品産業にとって、調和と透明性を目指す動きを後押しする大きな一歩となりました。その後、個々の食品の安全性を求める食品サプライチェーン組織からのニーズに応える、包括的な食品安全管理システム認証制度FSSC 22000が、2008年に出されました。ISO 22000とFSSC 22000はいずれも、食品分野がチェックリスト方式の監査から抜け出し、原則として「ある瞬間だけを切り取る」監査ではなく、効果的なシステムとプロセスこそがリスクを削減するという認識に立った、プロセスベースのアプローチへと前進するよう後押ししてきました。

食の安全と社会的責任をリンクさせるという点では、ほかにも必要不可欠な要求事項や、従うべきベストプラクティスはあります。

ISO 26000の発行は、社会的責任という問題について考慮・管理する枠組みを組織に提供するものでした。ISO 26000にある7つの原則 ― 説明責任、透明性、倫理的な行動、ステークホルダーの利害の尊重、法の支配の尊重、国際行動規範の尊重、人権の尊重 ― は、食の安全と社会的責任をリンクさせるメリットを認識する組織にとっては重要なものです。食の安全を目指す組織でこれら原則を統合していく中、企業にとっては、サプライチェーンを把握すること、社会的責任にかかわる価値の何たるかを明らかにして伝えること、価値観と信念とを組織内に徹底的に浸透させることが重要になります。

統合への道程 

  • サプライチェーンを把握する ― 第三者認証を取得した定評あるサプライヤーと、確かな追跡資料を利用して、倫理的運営への取り組みに関する透明性を確保する。
  • 社会的責任にかかわる価値の何たるかを明らかにして伝える ― 「耳障りのいい」標語を掲げるだけでなく、良き企業市民であろうとする信念と行動をもってあらゆる業務にあたること。
  • 価値と信念とを、組織に確実に根付かせる ―「自己満足」でしかないプロジェクトにとどまらず、食品サプライチェーンに携わる組織として、世界をよりよい場所にするための役割とは、透明性を持ったプロセスを通して提供し、消費者が自分の食べたいものを食べていることに疑いを持たずにすむようラベリングすることで、安全かつ持続可能な食品を提供することにある。「透明であれ。」“パッケージに書いてある通り”であるよう徹底すべし。ラベリングとパッケージングは、消費者の信頼を得るための重要な手段。製造業者も小売業者もこれを優先事項として対応する必要がある。ここを好き放題にやっては、あらゆる信用を失う。


消費者のパワー  

ソーシャルメディアが力を増したことで、消費者がブランドや製品を支持・購入し、宣伝する動きと、別の製品やブランドの選択だけでなく、オープンな場で嫌いな理由を公表する誹謗中傷の動きが、ともに活発さを増しています。 


最近の調査によれば、購入を決めるにあたって、消費者は以前にも増して、ブランドの環境、社会、倫理に関するデータに気を配るようになっています1。1,000人を対象にした調査では、91%が、企業の顧客や地域社会に対する振る舞いが、購入の決定に影響を及ぼしていると答えています。また、74%が、企業の行動について購入前にもっと把握しておきたいと望んでいます。このことは、食の安全と持続可能性とが、消費者の意識、さらには市場において、いまや分かちがたく結びついていることを明確に示しています。

ブランドストーリーは以前にも増して、企業の正式な所有権も株式も持たない人やグループによって変化し、語られるようになりました。地元住民の権利や環境、また、グローバルなサプライチェーンを構築する場所に配慮して、持続可能で環境に優しい方法でつくられた安全な食品は、いずれも信念に基づく消費を形づくるものです。情報が力を持ち、情報が歴史上かつてないほど容易に入手できるようになった時代において、企業は企業責任に関する戦略を積極的に構築して独立した第三者機関による評価を受け、こうした活動についてオープンかつ包括的なやり方で公表しています。地域社会の「ご機嫌取り」のような、その場限りの活動だけをしていればよい時代は去りました。消費者は、ブランド自体だけにとどまらず、サプライチェーンに含まれる地域社会や、企業が持つデータと情報の評価を行った認証機関からも、農場からフォークまで続く物語のすべてを知りたいと望んでいるのです。


1.  www.marketingmagazine.co.uk/article/1082305/consumers-consider-brands-ethics-when-shopping-according-survey


掲載日:2014年7月1日

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