【自動車機能安全】ISO 26262寄稿シリーズ(4): トップマネジメント セミナー

松土 達哉 LRQA ジャパン機能安全グループ・マネジャー

松土 達哉
LRQA ジャパン機能安全グループ・マネジャー 


ISO 26262寄稿シリーズでは、ISO 26262に関する一般的な解説や注意点、多くの方が抱く、ちょっとした疑問点などを痒いところに手が届くような解説していきたいと思っています。もし、これを読んで頂いている方で、痒いところ(ちょっとした疑問点など)がありましたら、躊躇することなく、ご連絡ください。また、弊社あるいは外部団体で実施したセミナー、教育研修、イベントなどの情報など、ISO 26262、機能安全などに関連する記事を載せたいと思います。

最近、すごく寒くなってきましたね。趣味とメタボ脱却のため、(週に数回ですが)夜間、自転車に乗っているのですが、半袖短パンでは、私の皮下脂肪を持っても太刀打ち出来ないほど寒くなってきています。皆さん、体調を崩されませんようご自愛くださいませ。ちなみに、今は長袖短パンで乗っています。

さて、今回は、先日実施した「トップマネジメント セミナー」のご報告をいたします。


「トップマネジメント セミナー」は、顧客企業様のトップマネジメントに対して、機能安全規格の概要説明及び対応の必要性、準拠することのメリットと課題や負担(工数、お金、人員)をご説明し、機能安全規格に準拠するための活動に対して、ご理解とご協力を頂くためのセミナーです。

このセミナーには、日本の自動車主要部品の開発製造(以下、X社様)の経営に関わる数名の役員を筆頭に、設計開発部門、品質管理部門の部課長様も参加されました。

内容は、詳しくは書けませんが、お客様のご要望により、組込みソフトウェアが与える事業へのインパクトや自動車業界におけるソフトウェア開発の現状や課題と将来像、そして、組込みソフトウェアの重要性などと共に、機能安全規格ISO 26262におけるソフトウェア開発のメリットや課題についてご説明致しました。

セミナーの実施時間は、2時間でした。講師は、株式会社東陽テクニカの二上貴夫氏にお願いしました。

なぜ、「トップマネジメント セミナー」が必要か?

答えを出す前に、機能安全規格準拠のため活動の課題を考えましょう。 X社様は、機能安全規格準拠への対応を早くから自主的に取り組み積極的な活動をしています。また、エンジニア層、管理職層、経営層の皆様も機能安全規格準拠に関する活動への理解が深く、非常に前向きに活動されているすばらしい組織です。 しかし、残念ながら、多くの企業様がそうとは限りません。機能安全規格準拠の担当者は、日々の活動をしていると、さまざまな障壁があることを実感していると思います。例えば、

  1. エンジニアの障壁
    • a) 機能安全規格に対する不理解
    • b) 多忙な中での、機能安全規格準拠のための追加作業への抵抗感
    • c) 機能安全規格準拠の必要性に対する不理解
  2. 管理職の障壁
    • a) 機能安全規格に対する不理解
    • b) 追加される工数への抵抗感
    • c) 実業務への影響に対する懸念
    • d) 経営層への説明責任の負担
  3. 会社としての障壁 
    • a) 機能安全規格の経営への影響度がわからない 
    • b) 追加投資の判断材料不足 
    • c) 追加人員の判断材料不足 
    • d) 株主・社会に対する説明責任の負担
  4. 推進者の悩み 
    • a) 機能安全規格関連セミナーに参加できない。 
    • b) 機能安全規格準拠の活動への理解を得られない。 
    • c) 機能安全規格準拠の活動に協力が得られない。 
    • d) 承認を得るたびに、費用対効果を問われる。 
    • e) 非常にコストがかかるが、理解してもらえない/説明できない。 
    • f) 非常に工数がかかるが、人員が増えない。

まだまだ、ありますがキリが無いのでここまでとします。 

いずれにせよ推進者は、いろいろな障壁を乗り越えるために、社内での啓蒙活動や説明会開催、上司への説明、社外セミナーへの参加等、頑張っていると思います。 

しかし、いくら頑張っても報われない場合があります。それは、ずばり、トップマネジメントの理解が得られない場合です。これは、機能安全規格準拠の担当者の責任でも、トップマネジメントの責任でもありません。 

どうすれば良いのか? 

トップマネジメントは、組織運営・維持、人材育成、経営ビジョン、ビジネス戦略などの構築、リスク管理など、企業の存続及び継続的な成長のため、あるいは、多くのリスクから会社を守るため、日々、難しい経営判断を下していると思います。また、多くの出来事を大局的な視点でみたり、一方では、局所的な視点で詳細にみたりしなければなりません。もちろん、法令、機能安全規格やISO規格などの国際的な枠組みに対しても十分に把握し、対応の必要性を強く感じているはずです。しかし、多くの難しい判断をタイムリーに求められるトップマネジメントは、妥当な意思決定をするための判断材料を十分に得ることは案外、難しいと思います。 

なぜ、「トップマネジメント セミナー」が必要か? 

答えは、「トップマネジメントに、妥当な意思決定をするために必要十分な判断材料を提供し、正しく理解そして判断して頂くため」です。 

トップマネジメントの理解を得ることができれば、機能安全規格準拠の担当者は、余計な雑音に邪魔されることなく、その職務に没頭でき、エンジニア層も管理職層も機能安全規格準拠に関する迷いや疑念が払拭され、明確な方向性と明確な目標が見えてくるはずです。 

最後に 

X社様は、機能安全規格準拠に関する活動に 対し、役員を始め、全社員が理解し、前向きに取り組んでいるすばらしい組織です。本来は、このセミナーは不要だったかも知れません。しかし、このセミナーを実施することによって、機能安全規格準拠への活動が更に強く役員の皆様に理解され、活動が加速することは間違いないと感じました。 

「トップマネジメント セミナー」の内容は、フルカスタマイズな内容です。お客様の要望に合わせて、内容、時間、開催場所を決定します。まずは、ご相談ください。 

(次回以降は、私も少し時間を頂き、話をさせて頂こうと思っています。)

掲載日:2014年11月07日

Hint

ISO 26262 自動車機能安全

ISO 26262は、機能安全規格の大元であるIEC 61508から派生した自動車分野向けの機能安全規格です。プロセスも製品もISO 26262認証の対象になります。規格説明ページはこちらから。

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