【検証】「調書」には万全の準備が必要 ~東京都トップレベル検証

2010年4月、東京都は大規模事業所を対象に、温暖化ガス排出量の6~8%削減を義務づける「総量削減義務と排出量取引制度」をスタートさせた。9月からは、一定の基準を満たした企業に削減率の軽減を認める「優良特定地球温暖化対策事業所」の認定申請を受け付けている。オフィスビルや商業施設など第1区分事業所の申請は12月末まで。申請には第三者機関による検証が不可欠で、そのための時間をみておく必要もある。認定取得を考える場合は今すぐ対応を始めなくてはならない。

(注) 日経BP社の許可により「日経エコロジー」2010年11月号から抜粋したものです。   

東京都排出量取引制度とは 

 東京都が今年4月に導入した「総量削減義務と排出量取引制度」は、温暖化ガス排出量に規制の枠を設け、枠の達成を義務づける「キャップ&トレード」である。エネルギー使用量が年間で原油換算1500k・以上の企業は、2002~2007年度の連続する任意の3年間の平均排出量を基準として、2010~2014年度の5年間に6~8%削減しなくてはならない。自社で削減できない分は、他の企業などから排出超過量に相当するクレジットを購入することになる。   

「トップレベル事業所」は削減義務率が半分

その一方、「知事が定める基準」に適合する企業は「優良特定地球温暖化対策事業所」と認められ、削減義務率が軽減される。地球温暖化対策の推進程度が「極めて優れている」場合は「トップレベル事業所」として削減義務率が2分の1に、「特に優れている」場合は「準トップレベル事業所」として同4分の3に減るのだ。例えば、基準排出量が1万CO2-t/年で、2010~2014年度に8%削減する義務を負う企業の場合、通常ならば年間の排出量を9200tまでに抑えなくてはならない。これが、トップレベル事業所として認定されると、削減率が2分の1の4%で済むことから、年間9600tまで排出できるようになる。認定を申請する場合には、正確性、信頼性を確保するために第三者機関による検証が不可欠になっている。検証業務を行うことができるのは、都が認めた検証機関に限定される。現在、オフィスビル、商業施設などを対象とする第1区分事業所の検証を行う機関としては11社が登録されている。

国際的な審査登録機関で、環境マネジメントシステム「ISO14001」の審査登録を日本で約1000社手掛けた実績を持つロイド レジスター クオリティ アシュアランス リミテッド(LRQA)ジャパンもそのうちの1社。弊社シニアテクニカルスペシャリスト、喜多洋一は「この認定制度は、過去に十分、地球温暖化対策を講じてきた企業が不利にならないよう削減率を減免するもので、認定されればメリットは大きい。環境への取り組みが企業の社会的責任(CSR)の重要事項と認識されているだけに、いち早くトップレベル事業所の認定を取得すれば、企業ブランドの向上につながる。ぜひ積極的に挑戦してほしい」と話す。

ただ、トップレベル事業所の認定を取得するには専門知識が不可欠で、企業側の準備にも多くの時間、手間がかかることを認識する必要がある。    


空調、照明、オフィス機器… 社内外の専門家の協力が必要 

企業がまずすべきことは「調書」の作成だ。調書とは、空調機、照明器具、オフィス機器など温暖化対策に導入した設備・機器の仕様・性能を示すもの。調書作成ツールは都のホームページからダウンロードできるが、内容を入力するには建物の竣工図、設備・機器の仕様書や取扱説明書、保守契約書、点検報告書、省エネ工事計画書など多くの資料、図面が必要で、社内外の専門家の協力を仰がなくてはならないことも多いとみられる。

調書作成後に温暖化対策の取り組み状況を点数化し、認定基準に適合しているかを自己評価する「評価書」を作成する。都のホームページから評価書作成ツールをダウンロードし、ガイドラインに沿って点数をつける作業である。

第1区分事業所の場合、評価項目は228に及ぶ。大きく分けて温暖化対策の推進体制などに関する一般管理事項、建物・設備の省エネ性能に関する事項、運用・保守に関する事項の3分野があり、それぞれの中に必ず取り組むべき必須項目、優先的に取り組むべき一般項目、取り組みを行うと評価対象となる加点項目が設定されている。項目ごとに1点から0点の間で評価点をつける。   


点数不足で評価し直しの恐れ 早めの準備、早めの相談を 

トップレベル事業所として認定されるには総合得点が80点以上で、74ある必須項目に0点がないことが求められる。仮に必須の74項目すべてで満点を取ったとしても、80点には届かない。喜多氏の見立てでは「80点以上を取るには、100~160項目の評価が必要になる」。1項目ずつ、状況を確認し、評価していくわけだが、専門知識がなくては分からない項目も多く、場合によっては設備・機器の納入業者にも相談が必要だ。調書を作成し、自己評価を算定するまで、喜多氏は「1人の従業員がかかりきりで作業しても1カ月では終わらないだろう」と予想する。

こうした企業の自己評価の後、ようやく検証機関による検証となる。検証のプロでも、その作業には「最短でも1週間はかかる」(喜多氏)と見ている。また、企業内の自己評価で基準に達していても、検証機関による検証で点数が不足することも考えられる。その場合は評価項目を変更するなどして評価書を作成し直し、再度、検証を受けることが必要になる。

12月末という申請の締め切りを考えると、優良特定地球温暖化対策事業所の認定取得を考える企業は、10月中には調書作成を終え、11月上旬ぐらいまでには自己評価書を完成させたい。読み解くのに専門知識が必要な項目も多いので、早めに準備し、早めに検証機関に依頼することが重要だ。   

禁無断転載(c)  日経BP社

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